<新刊紹介> The Chemistry of Beer|ビールに秘められた化学が分かる本、「ビールも化学も好き」という人におすすめ

The Chemistry of BeerThe Chemistry of Beer: The Science in the Suds
 Roger Barth
 ISBN: 978-1-118-67497-0
 Paperback / 348 pages / November 2013
 US $39.95

忘年会・クリスマス・お正月と、これからの季節にはビールに親しむ機会が増えますが、その味や香り、のど越しは、言うまでもなくさまざまな化学的な働きによって生まれています。ビールと化学の両方が好きな人なら、そういった「ビールの化学」を知ることで飲む楽しみが一層増すのではないでしょうか。

このほど新刊として出版された本書 The Chemistry of Beer は、まさにそのような目的で書かれた本です。自家醸造のためのレシピが詳しく書かれるなど実用向けの側面も備えていますが、単なるハウツー本ではなく、その背後にある化学の解説に力を入れているのが本書のユニークな点です。

本書の前半は、一般読者向けの予備知識として「原子とは何か」「官能基とは」などの概念を説明する化学入門的な章がいくつか続きますが、化学の知識のある読者はスキップして、第7章 “Milling and Mashing” あたりから読み始めるのがいいでしょう。醸造過程で起こる反応、ビール独特の味と香りをもたらす物質、国や地方によって多様なビールの種類とそれぞれの特徴、瓶内熟成・劣化などの経年変化といった主題について、化学的な解説が加えられます。

beer各章の末尾には、教科書のように問題が書かれています。「ジメチルスルフィドはビールにどのような問題を引き起こすか」「クラブトリー効果とは何か」「エステルはビールにどんな香りをもたらすか」「ビールの経年変化での鉄イオン・銅イオンの役割は」など、基礎的な問題からかなり難度の高いものまで幅広く出され、理解度を確認することができます。

著者は米ウェスト・チェスター大学の化学教授であると同時にビールの自家醸造家でもあり、ビール醸造法の講義も受け持っているという人物で、本書の執筆にはこれ以上ないくらい適任といえるでしょう。

 本書の目次  → さらに詳しい目次は、こちらのページからTable of Contentsの項目でSee Moreをクリックして下さい

1 Introduction
2 What is beer?
3 Chemistry basics
4 Water
5 Introduction to organic chemistry
6 Sugars and starches
7 Milling and mashing
8 Wort separation and boiling
9 Fermentation
10 Tests and measurements
11 The chemistry of flavor
12 The chemistry of beer styles
13 Foam and haze
14 Beer packaging
15 Beer flavor stability
16 Brewing at home
Glossary

カテゴリー: 書籍 パーマリンク