<記事紹介> 論文の査読を引き受けたが期限に間に合わない! あなたならどうする? / エディターのアドバイス

Credit - andresrimaging/iStockphoto

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ジャーナルから論文の査読を引き受けたが、多忙などの理由で所定の期限に間に合わないという経験をした人は少なくないでしょう。期限が迫る状況で査読者はどのようにしたらいいか、Wileyの生命科学誌 BioEssaysInside the Cell の編集長を務めるAndrew Moore氏がWileyのブログExchangesへの寄稿でアドバイスしています。

Moore氏によると、査読の遅れが予想されるとき、何よりも大事なのは速やかに編集部に連絡することです。他の査読者のレポートを基に採否が決まる場合もありますが、自分のせいで採否の判断がストップしているという最悪の想定をしておくべきです。編集部は、査読者から何の連絡もないまま期限が近づいた場合、その時点で新たに別の査読者を探して依頼することになりますが、それによって採否の判断が1カ月くらい遅れることは珍しくありません。1日も早く自分の論文を出版したい著者にとっては大きな痛手です。

期限に間に合いそうにないが何とかして約束を果たしたいという場合、同じ研究室のメンバーに査読を任せる(委嘱する)のもひとつの選択肢になります。査読の委嘱を認めるかどうかはジャーナルの方針によるので、委嘱を行いたいときは事前に編集部に連絡する必要があります。

編集部は依頼した査読が遅れそうだと察知したとき、代わりの査読者に依頼して保険をかけておくことがあります。この場合、元の査読者からの回答が間に合わなければ、代わりの査読者の判定を基に採否が判断されます。このケースでは、元の査読者が遅れてレポートを提出しても意味がないように思えますが、Moore氏はたとえ遅れても提出するよう勧めています(期限を過ぎて査読システムから送れない場合は、編集部にメールで)。既に採否の判断が済んでいても、後から届いた査読レポートの内容に価値があれば、編集部は説明とともに著者に送って参考にしてもらうでしょう。厄介なのは、それまで見落とされていた論文の重大な欠陥がこの時点で明らかになるような場合で、先の採否判断を覆すべきか悩ましい状況になります。そのような事態を招かないためにも、そもそも期限に遅れないのが一番です。

Moore氏によると、ジャーナルの編集部は悪意のない査読の遅れに対しては理解を示すのが普通です。査読者としては、約束の期限を守れなかったことに引け目を感じるかもしれませんが、編集部への連絡を無駄に引き延ばさないことが何より重要です。また、提出期限を延ばしてもらったときは、今度こそ厳守しましょう。

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