<論文紹介> 大阪大・明石 満教授らが天然由来原料から「ペタル効果」を示す生分解性・超撥水性不織布の開発に成功 (Advanced Functional Materials)

Advanced Functional Materials水滴を弾き返し、横に広がらないようにする性質の強い「撥水性表面」についてはこれまでに多くの研究開発がなされ、自動車のコーティングや焦げ付きにくいフライパンといった身近なところにも広く応用されています。撥水性が特に高く、水滴との接触角が150°を超える表面は「超撥水性」と呼ばれます。超撥水性表面の多くは生分解性を持たない材料から作られていますが、近年になって天然由来の原料を用いた生分解性の超撥水性材料の開発例がいくつか報告され、医療用材料への応用や環境への配慮といった観点から注目されています。

大阪大学大学院工学研究科・明石 満教授と独アーヘン工科大学ドイツ・ウール研究所 (DWI)・Martin Möller教授らの共同研究グループは、天然由来の高分子である γ-PGA(ポリグルタミン酸)とアミノ酸の一種 L-フェニルアラニンを原料として、エレクトロスピニング法によって生分解性の不織布を製造することに成功し、この不織布が接触角154°の超撥水性を示すことを確認しました。

dropletまた、多くの超撥水性表面がハスの葉のように少し傾けただけで水滴が転がり落ちる「ロータス効果」を示すのに対し、この不織布は表面を上下逆さまにしても水滴がくっついたまま落ちない「ペタル効果」(バラの花びら(ペタル)の表面で同じ現象が見られる)を示しました。ペタル効果を示す生分解性・超撥水性材料の開発が報告されたのは今回が初めてとのことで、これまでになかった種類の超撥水性材料として、新しい用途への応用が期待されます。

この論文は、材料科学のニュースサイトMaterials Viewsによって注目論文として紹介されました。

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