<記事紹介> 学会でこんな口頭発表が聴衆をイラッとさせる (AGU誌編集長ブログ)

presentationAmerican Geophysical Union (AGU, アメリカ地球物理学連合) が発行するJournal of Geophysical Research: Space Physicsの編集長Michael Liemohn氏(米ミシガン大学教授)は、先週ある学会に参加して多くの口頭発表を聴講しました。すぐれた発表に交じって、中には聞いていて思わずイラッと感じてしまうような発表もいくつかあったようです。同氏のブログで、口頭発表で避けるべきポイントを解説しています。

ブログ記事の表題にあるように、Liemohn氏は論文と口頭発表とは根本的に違うものだと強調します。論文は読者が自分のペースで読み進めることができ、重要な箇所をじっくり時間をかけて読んだり、後戻りして読み返すことができます。それに対して口頭発表では、聴衆は発表者の決めたペースや順序に従うしかありません。その違いを意識せず、論文の内容をただパワーポイントにコピペしただけの発表では、内容を効果的に伝えることができません。上のブログ記事で同氏は、ダメな発表の例として以下のようなものを挙げています。

× 文献を多数引用したり、実験方法を詳細に説明する 論文と違って、引用文献や実験方法の説明は必要最小限で構いません。限られた発表時間をそこに長く割くのは無駄です。
× 一つのスライドにパラグラフ単位の長い文章が書かれている 聴衆は文章を読んでしまい、発表を聞いてくれなくなります。
× 実験結果のデータとその解釈が別々のスライドに分かれている データをまとめたFigureが直前のスライドにあっても、聴衆は戻って見直すことができません。データとその解釈は同じスライドにまとめましょう。
× Figureの周囲に広い余白がある 大きな会場の最後列からでも見えるよう、できるだけ拡大して表示すべきです。軸ラベルのテキストや数値も、読みにくければ大きなフォントで打ち直すような配慮が求められます。
× 一つのスライドにいくつもの論点が盛り込まれている 聴衆の注意が、話しているのとは別の項目に奪われてしまいます。論点ごとにスライドを分けましょう。さらに言えば、最も重要なポイント一つだけに焦点を絞って発表するほうが、ほかの多数の発表に埋没せずに印象を残すには効果的です。

自分の、あるいは人の発表で思い当たる節はありますか? こういった失敗を避けるだけで、発表の効果がかなり高まりそうですね。

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