表題にnovel, simple, efficientという語を含む化学論文はリジェクトされやすい!? EurJOCエディターが指摘

化学論文の表題で“novel”, “simple”, “efficient”といった形容詞が使われることは珍しくありませんが、ご自分が使うときはよく考えて下さい。European Journal of Organic Chemistry (EurJOC)のエディターDr. Haymo Rossによると、これらの単語を表題に含む論文は、そうでない論文に比べてリジェクトされる率が顕著に高いそうです。

 ⇒ Ross, H. (2013), What Can Be Said at All Can Be Said Clearly (Eur. J. Org. Chem. 1/2013). Eur. J. Org. Chem., 2013: 4–5. doi: 10.1002/ejoc.201290104 (本文を読むにはアクセス権が必要です)

表題だけを理由にリジェクトが決まるわけではありませんが、こういった装飾的な形容詞は、著者が期待するような良いインパクトを査読者に与えません。むしろ、具体的な科学的意味のない誇張表現として、査読者に対して悪印象を与えてしまいがちだそうです。

この記事では、“green”, “eco-friendly”, “environmentally benign(環境に無害な)のような形容詞を安易に使うことも避けるべきとしています。ある溶媒を使うのをやめれば反応が”green”になるとは即断できず、プロセス全体を通じてさまざまな要素を評価する必要があるからです。

同様に、”transition-metal-free”のように“~free”と付いた表題もよく見かけますが、ある査読者はレポートの中で、たとえ事実として正しくても、ほとんどの場合は科学的に価値のない表現だと指摘したそうです。その査読者は、”~free”は「~でない」という否定表現であって、「~である」という肯定表現による記述と比べて一般に役に立たず、極論すれば”free of genetically modified organisms”, “free of nuclear power”, “free of witchcraft(魔法を使わない)“とか何とでも言えてしまうじゃないか、と述べています。

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