<論文紹介> 白金に代わる色素増感型太陽電池の対極用材料となるか|窒素ドープグラフェンフォームで変換効率7.07%を達成(Angew. Chem. Int. Ed., Hot Paper)

色素増感型太陽電池(Dye Sensitized Solar Cell = DSSC)は、耐久性が高く低価格で量産可能なことから、次世代電池として期待されています。電極、電解液とともに色素増感型太陽電池の主な構成要素をなす「対極」には、主に白金が用いられています。しかし、白金は高価で供給量が限られているのが難点で、代替材料の探索が課題のひとつとなっています。これまでにカーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンナノシートなどの炭素系材料が試されましたが、性能的に白金に及ばないため実用化には遠いとされてきました。

このほど、中国・Wenzhou Medical College (温州医学院)の研究グループは、フォーム状の3次元構造に加工したグラフェンを窒素ドープして得られた、7.6%の窒素を含むグラフェンフォームを対極に用いて、エネルギー変換効率7.07%を達成しました。これは、同じ条件で白金の対極を用いた場合の7.44%に迫り、金属を使わない炭素ベースの対極ではこれまでで最高水準の変換効率にあたるものです。白金に代わる有望な対極用材料として、今後の研究が期待されます。

■ この成果は、Angewandte Chemie International Editionで論文として発表されました。
 ⇒ Xue, Y., Liu, J., Chen, H., Wang, R., Li, D., Qu, J. and Dai, L. (2012), Nitrogen-Doped Graphene Foams as Metal-Free Counter Electrodes in High-Performance Dye-Sensitized Solar Cells . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201207277
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□ またこの論文は、同誌の注目論文Hot Paperに選ばれました。
 ⇒ Hot Paper: Nitrogen-Doped Graphene Foams as Metal-Free Counter Electrodes in High-Performance Dye-Sensitized Solar Cells

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