<論文紹介> ウコンに”力”を与える成分? クルクミンの化学と生理活性(Angew. Chem. Int. Ed.・レビュー論文)

二日酔い防止に効くとして一躍有名になったウコン(英語名ターメリック)は、カレーに独特の黄色を与えるスパイス・色素として長い歴史を持ちます。その色素・活性成分となっているのがポリフェノールの一種であるクルクミン(curcumin)で、近年は肝臓の機能を高める効果のほか、抗酸化作用による老化防止、アルツハイマー病の予防、抗がん効果などさまざまな効能が期待され、健康食品やサプリメントに広く使われるようになっています。クルクミンの医学的有用性に関する研究も盛んで、医学・生物学文献データベースPubMedでは、2010年だけで700報の文献がヒットするそうです。

このほどAngewandte Chemie International Editionに発表された総説論文で、独キール大学のGerald Rimbach教授らは、クルクミンに関するこれまでの研究を概観し、化学的性質・合成経路・生理活性・安全性などの面から多角的かつ詳細に論じています。クルクミンの医学的効能については、細胞実験や動物実験のレベルでは効果を支持する結果が報告されていますが、臨床試験で人への効果が確認された例は今のところないそうです。

この論文は、Angew. Chem. Int. Ed.の最新号に掲載され、以下のリンク先でオンライン公開されています。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
 ⇒ Esatbeyoglu, T., Huebbe, P., Ernst, I. M. A., Chin, D., Wagner, A. E. and Rimbach, G. (2012), Curcumin—From Molecule to Biological Function. Angew. Chem. Int. Ed., 51: 5308–5332. doi: 10.1002/anie.201107724

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