絵本画家・中村景児氏のイラストがChemSusChem誌の表紙に / 『ピーマンマン』シリーズなどの人気画家に横浜薬科大・武田教授研究室が委嘱

サステイナブル・ケミストリーの専門誌ChemSusChemの最新号(Volume 8, Issue 10, May 22, 2015)の表紙画像をご覧になりましたか? よくある化学誌の表紙とは一線を画した、魅力的なアート作品となっています。

ChemSusChem cover

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この表紙画を描いたのは、幻想的な作風で知られ、『ピーマンマン』シリーズなど人気作品の多い絵本画家・中村景児氏です。今回の表紙画にも中村氏の作風がはっきりと表れ、見る側の気持ちを楽しませ、和ませると同時に夢を与えてくれます。

この表紙は、横浜薬科大学の武田 収功教授奥野 義規助教らによるポリマー担持有機分子触媒に関する論文 “Dimethylaminopyridine-Supported Graft Polymer Catalyst and its Flow System” を基にしています。武田教授と中村氏は、お互いの奥様同士が中高校時代からのご友人という縁があったことから、武田教授が表紙画を中村氏に委嘱し、快諾されたそうです。論文の筆頭著者の奥野助教も、幼少時から『ピーマンマン』の絵本や歌・劇に親しんでいたそうで、今回その画家である中村氏に表紙を描いていただいたことに感激もひとしおとのことです。

掲載号のCover Profileでは、武田教授らが表紙画のインスピレーションや、基になった論文の趣旨について語っています。この論文で武田教授らは、有機分子触媒DMAPをポリマーに担持させる場合、グラフトポリマー(幹となるポリマーに別の種類の枝ポリマーが結合したもの)を用いる方がクロスリンクポリマーを用いるよりも著しく反応性が高まることを確認するとともに、このグラフトポリマー担持触媒による連続フローリアクタシステムの開発に成功しました。今後医薬品合成など工業的な応用への発展が期待されます。

そういった内容を踏まえて中村氏の表紙画を改めて見直すと、それぞれの細部が研究内容のどの部分を表現しているかが分かり、さらに楽しめますね。武田教授は、このイラストに「未来の化学工業もこうありたいと願う私たちの意思がしっかりと描かれている」とお感じになったそうです。

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