<論文紹介> 生細胞中だけで発光する刺激応答型蛍光ナノ粒子 / 東工大・小西研が開発、蛍光イメージングの高精度化や薬物送達のリアルタイム観察が可能に (Chem. Eur. J.)

biology東京工業大学大学院理工学研究科の仁子陽輔研究員、小西玄一准教授らは、仏ストラスブール大学薬学部との共同により、細胞外では発光せず細胞内に取り込まれると発光するという発光のオン・オフ機能をもつ「刺激応答型蛍光ナノ粒子」の開発に成功しました。

細胞内の現象を観察するための蛍光イメージングは、生命科学・医学において非常に重要なテクニックとなっています。この分野で最近注目されているのが、有機系のミセルなどからなる蛍光性ナノ粒子で、単一分子で染色するよりも高感度で、無機系ナノ粒子(量子ドット)と比べて細胞毒性が低いといった長所を備えています。

仁子研究員らは、1分子で独立していると発光し凝集すると消光する性質をもつ赤色発光色素ナイルレッドを凝集させ、ミセルを作製しました。このミセルを生細胞内のグルタチオンによって分解する架橋剤で固定化して得られた非発光性のナノ粒子は、細胞内に取り込まれると分解して凝集が解かれ、強発光性を示すようになることが確認されました。

このナノ粒子を細胞イメージングの造影剤に用いると、標的細胞のみが色づけされ、細胞内に取り込まれていないナノ粒子の不要な蛍光によって観察が邪魔されません。そのため、バックグラウンド補正の必要がなく高精度な観察・診断が可能になります。またドラッグデリバリーシステム(DDS)に応用すると、薬の患部への到達を確認し、また薬の放出過程をリアルタイムで観察することができます。

生命科学・医学の広範な分野への応用が期待されるこの成果を報告した論文は、Chemistry - A European Journal誌に掲載されました。

Chemistry - A European Journal

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