<論文紹介> クリックケミストリーの材料科学への応用(Adv. Funct. Mater.・総説)

Advanced Functional Materials2001年にバリー・シャープレスが提唱したクリックケミストリー(click chemistry)は、創薬開発をはじめその後の有機合成化学に多大な影響を与えました。このクリックケミストリーの影響は材料科学の分野にも及び、材料の合成や改質に有用なクリック反応が多数報告されています。

このほどコロラド大学ボルダー校のChristopher N. Bowman教授らは、材料科学におけるクリックケミストリーの展開に焦点を合わせた総説をAdvanced Functional Materials誌で発表しました。この総説で同教授らは、クリックケミストリーの主要な反応と発展の概観に続いて、高分子など材料の合成と改質、材料表面の改質、刺激応答性材料と自己組織化、CNTなどナノ材料の改質といった各分野でクリック反応を用いて得られた成果を体系的に紹介しています。

有機合成化学におけるクリックケミストリーの著しい発展を考えると、材料科学への応用の余地はまだ大きく残されているようです。クリック反応の導入を考える材料科学者がこれまでの成果を確認し、新たな領域を開拓していく上でヒントを与えてくれそうな総説です。

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