2013年ノーベル化学賞決定! カープラス氏ら受賞者三氏の業績を知るのに役立つ、Wileyから出版された著作・関連文献を紹介(多くは無料公開中)

昨日(10月9日)、2013年ノーベル化学賞受賞者が発表され、マーティン・カープラス Martin Karplus (仏ストラスブール大学)、マイケル・レビット Michael Levitt (米スタンフォード大学)、アリー・ワーシェル Arieh Warshel (米・南カリフォルニア大学)の三氏の受賞が決まりました。受賞理由は”for the development of multiscale models for complex chemical systems”(複雑な化学システムのマルチスケールモデル開発)でした。おめでとうございます!

ノーベル財団による発表資料Scienific Backgroundでは、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) の論文が参考文献のひとつとして引用されています。

今回受賞された三氏とも、Wileyのジャーナルから多くの論文を出版するなど、Wileyと縁の深い方々です。上記をはじめ、三氏の業績について理解を深めるのに役立つ文献の一部をご紹介します。(多くは期間限定で無料公開中です)

Journal of Computational Chemistryカープラス教授は、WileyのJournal of Computational Chemistryの編集顧問のひとりであると同時に、同誌が1980年に創刊されて以来最も多く引用された論文の著者でもあります。それが、ケムステーションさんのノーベル化学賞速報記事でも紹介されている生体高分子のシミュレーションソフトCHARMMについての2009年の論文です。

Journal of Molecular RecognitionまたJournal of Molecular Recognitionは、「分子動力学法」におけるカープラス教授の貢献を称えて、2010年に特集号を献呈しました。その特集号Dynamical Aspects of Molecular Recognition icon_freeは、現在全論文を無料でお読みいただけます。

ほかにカープラス教授の業績を理解するのに役立つ論文としては、以下が挙げられます。

Encyclopedia of Molecular Biologyレビット教授・ワーシェル教授とも、Journal of Computational Chemistry, Protein Science, Proteins: Structure, Function, and Bioinformaticsなどのジャーナルで多数の論文を発表されています。さらにワーシェル教授は、事典Encyclopedia of Molecular Biologyに下記の一章を寄稿しています。

Computer Modeling of Chemical Reactions in Enzymes and Solutionsそのほか、ワーシェル教授の下記の著作が現在も入手できます。
Computer Modeling of Chemical Reactions in Enzymes and Solutions
Arieh Warshel
ISBN: 978-0-471-18440-9
Paperback / 256 pages / March 1997

今回の受賞の背景を知るために、これらの文献が役立てば幸いです。


これらに加えて、三氏がWileyで出版した著作のうち主要なものを、特設ページ2013年12月末まで無料公開するよう準備中です。公開が始まり次第改めてお知らせします。

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