<論文紹介> カメルーンの伝統的な薬用植物の根皮から合成鎮痛剤トラマドールが見つかる (ACIE・VIP)

Angewandte Chemie International Edition西アフリカのカメルーンで伝統的に用いられてきた薬用植物の根皮の成分を調べたところ、人工的に開発された合成薬と全く同じ物質が含まれていたという珍しい発見が、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) で報告されました。
 ⇒ Boumendjel, A., Sotoing Taïwe, G., Ngo Bum, E., Chabrol, T., Beney, C., Sinniger, V., Haudecoeur, R., Marcourt, L., Challal, S., Ferreira Queiroz, E., Souard, F., Le Borgne, M., Lomberget, T., Depaulis, A., Lavaud, C., Robins, R., Wolfender, J.-L., Bonaz, B. and De Waard, M. (2013), Occurrence of the Synthetic Analgesic Tramadol in an African Medicinal Plant . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201305697
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この報告を行ったフランスとカメルーンの共同グループが研究対象としたのは、一般にはAfrican peach または pincushion treeと呼ばれるアカネ科の低木Nauclea latifoliaです。この植物は、その根皮に鎮痛作用があるとされ、カメルーンの伝統医療では生薬として用いられてきました。同グループがその根皮からの抽出物を分析した結果、合成鎮痛剤トラマドールと全く同じ化合物が見つかり、その単離に成功しました。1960年代に人工的な合成によって開発されたトラマドールは、モルヒネなどと同じオピオイド鎮痛剤のひとつで、現在臨床的に広く利用されています。Nauclea latifoliaの乾燥した根皮は、重量比で0.4%にあたるかなり高い濃度でトラマドールを含んでいました。

同グループによると、実際に使われている合成薬が後になって天然の植物中で見つかることはきわめて珍しく、特に今回のように高い濃度での発見は前例がないとのことです。この貴重な発見により、今後は、この植物がトラマドールの安価な原料として使われるようになるかもしれません。

■ この論文は、ACIEで二人の査読者が特に重要性を認めた注目論文VIP (Very Important Paper)に選ばれました。
 ⇒ VIP: Isolation of the Synthetic Drug Tramadol from the Analgesic African Medicinal Plant Nauclea latifolia

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