査読依頼を断っていいのはどんなとき? ジャーナル編集長が解説

論文を活発に発表するアクティブな研究者は、自然と論文の査読依頼を受ける機会も多くなります。ただでさえ多忙な中で査読を行うのは重荷に違いありませんが、ほとんどの研究者は査読の意義をよく理解しているため、いわば「お互い様」として引き受けているようです。

no-68481_640しかし、状況によっては査読依頼を断っていい場合もあります。そのことについては当ブログの過去記事 査読で悩む人は必読! 化学ジャーナル編集長が教える「論文査読・12のポイント」 の 1. でも触れていますが、研究者・図書館員のためのブログ Wiley Exchanges に最近投稿された記事では、この点をさらに掘り下げて解説を加えています。投稿者は、Wileyの生命科学誌 BioEssaysInside the Cell の編集長を務めるAndrew Moore氏です。

本当に多忙で時間がない、査読対象の論文が自分の専門分野と合わないといった理由で依頼を断りたい場合は、少しでも早く編集部にその旨伝えることが重要です。編集部としては、速やかに断りの連絡をもらえると、直ちに次の査読者に依頼できるためありがたいそうです。

clock-594178_640もちろん、忙しいのは他の研究者も同じで、編集部としては何とか時間を作って査読を受けてもらいたいのは間違いありませんが、査読のための時間を捻出することがどうしても無理という状況であれば断るしかありません。依頼を断る以上によくないのは、査読を引き受けておきながら約束した期限を守らないことで、編集部や著者など多くの人たちに迷惑をかけることになります。それだけでなく査読者本人も、著者や編集部から意図的に出版を遅らせようとしているのではないかと疑いをかけられて評判を落とすことになりかねません。編集部には、イライラした著者から「査読を遅らせているのは自分とライバル関係にある誰それだろう」と名指しで連絡が来ることがあるそうです。

査読を依頼された論文が自分の専門と外れているというのも、査読を断る正当な理由になります。自分の論文が査読者から不当な理由でけなされたと感じた経験のある人は少なくないかもしれません。Moore氏は、そのような査読結果は査読者の悪意から生まれる場合もありますが、むしろ査読者の無知が原因の場合のほうが多いと言います。従って査読依頼を受けた場合は、査読対象の論文の分野・主題について自分が「知らない」のはどのあたりかを考え、その比重が大きそうであれば断るべきだとのことです。

査読を引き受けるかどうかを判断する際にもうひとつ忘れてはならないポイントが「利益の相反」で、査読者としての判断に影響を与える可能性のある利害関係があれば引き受けるべきではありません。例えば著者との個人的つながりが深い場合や、著者に頼まれて投稿前の原稿に目を通したことがある場合もそれに該当します。エディターは論文のacknowledgment(謝辞)で名前を挙げられた人物に査読を依頼するのを避けるのが普通ですが、時には見落としもあり、また投稿前の原稿を読んでもらったくらいなら著者が名前を挙げない場合もあります。査読の妨げになるような利害関係がないか、自己チェックを行うことが重要です。

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