臨床試験の改革に貢献した生物統計学者・Marvin Zelenハーバード大教授にインタビュー (Statistics Views)


臨床試験デザインの改革において数々の業績を上げた世界的な生物統計学者・ハーバード大学のMarvin Zelen教授へのインタビューが、Wileyの統計学ニュースサイトStatistics Viewsに掲載されました。
 ⇒ Leading biostatistician Marvin Zelen talks about his pioneering work in clinical trials and why he thinks current methods are wrong

Zelen教授は、がんの臨床試験の対象を、コミュニティ・ホスピタル(地域住民を対象とする病院)の患者にまで拡大するプログラムを主導したことで知られています。それまでの臨床試験は、大規模な医療センターや大学病院の患者だけを対象としていたため、初期治療が成功しなかった患者に偏る傾向がありました。Zelen教授の働きによって、地域病院で新たにがんと診断されたばかりの患者を臨床試験に加えることができるようになり、データの質が大幅に向上しました。現在はZelen教授の重要な業績として知られるこのプログラムですが、開始にあたって教授がアメリカ国立衛生研究所(NIH)に助成金を申請した際には、審査委員会から当初「コミュニティ・ホスピタルを臨床試験に加えてうまく行くはずがない」と却下された経緯もあったそうです。

またZelen教授は、1980年代にボストン近郊のウォーバーンに住む子どもたちの間で白血病が多発した事件で、企業による水質汚染との因果関係を立証するのに大きな役割を果たしたことでも有名です。この事件は後に、ジョン・トラボルタ主演により『シビル・アクション』(原題 A Civil Action)の題で映画化され、多くの人に知られるようになりました。今回のインタビューで同教授は、事件当時のことを回想するとともに、最近の研究課題や、現在の臨床試験に対する方法上の懸念についても語っています。

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