<新刊紹介> グリーンな溶媒として期待される「超臨界水」の理論から応用までが分かる一冊

Supercritical Water
Yizhak Marcus
ISBN: 978-0-470-88947-3
Hardcover / 218 pages / June 2012
US $110.00
(上の書名または表紙画像をクリックすると、内容情報にリンクします)

昨年6月に刊行された本書ですが、Angewandte Chemie International Edition (ACIE)に書評が掲載されたのを機会に、改めてご紹介したいと思います。 (* 書評を読むにはアクセス権が必要です)

日常の世界では、水は0℃で凍り100℃で沸騰しますが、374℃・220気圧以上という高温高圧下では、液体と気体の性質を併せ持つ流体「超臨界水」 (supercritical water)になることが知られています。この超臨界水は、液体の水とはさまざまな点で異なる興味深い性質を示しますが、中でも通常の水にはほとんど溶けない有機物を強力に溶かす性質が注目され、環境にやさしい溶媒としての期待から、近年盛んに研究されるようになっています。

本書は、この超臨界水に焦点を当てて、理論から応用までさまざまな側面を総合的に解説するユニークな一冊です。第1章では、超臨界水を中心に、超臨界状態の流体の熱力学について論じます。第2章以降では、超臨界水の物性を多様な角度から取り上げ、最後の第5章では、バイオマス燃料生産・有害物質の処理・有機合成での溶媒としての利用といった応用例を示します。

上記のACIEの書評で、本書は超臨界水の化学という研究分野の全体像を素早く理解したい読者にとって必須の書として、高く評価されています。

 各章の構成  → 詳しい目次はこちら

1 Introduction * 試読用に無料公開中(PDF)
2 Bulk Properties of SCW
3 Molecular Properties of SCW
4 SCW as a “Green” Solvent
5 Applications of SCW

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