<論文紹介> ヤモリの足裏を模倣した強力な接着材料 - 米大学の研究チームが開発に成功

inside front cover

生物の構造や機能をまねて新しい技術を生み出すバイオミメティクス(生体模倣技術)が近年活発になっていますが、中でもツルツルの壁面でも平気で登れるヤモリの足裏は、新しい接着技術のヒントになるものとして特に注目されています。強い粘着力の秘密は、ヤモリの足裏に生えている微細な体毛にあるとされ、それを模倣した材料の実現にむけてさまざまな試みがなされてきました。しかし、1センチ四方以下といった小さなスケールでは成功しても、それ以上の規模ではうまくいかず、実用化に困難が伴っていました。

このほどマサチューセッツ大学アマースト校のMichael Bartlett, Duncan Irschickらによる研究チームは、ポリウレタンパッドと炭素繊維布と組み合わせて、100平方センチメートルの接着面で垂直のガラス面に貼りつき約300kgの荷重に耐える新材料の開発に成功しました。この材料は強い接着力を持つだけでなく、簡単にはがせて100回以上も繰り返して使え、しかもはがした後に粘液などを残さないという優れた性質を持っています。

この成果をまとめた論文は、Advanced Materials誌に掲載されました。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
 ⇒ Bartlett, M. D., Croll, A. B., King, D. R., Paret, B. M., Irschick, D. J. and Crosby, A. J. (2012), Looking Beyond Fibrillar Features to Scale Gecko-Like Adhesion. Advanced Materials, 24: 1078–1083. doi: 10.1002/adma.201104191

紹介記事(無料公開)
 ⇒ The Wiley Life Science Blog: UMass Amherst Scientists Invent Geckskin

将来はこれを使って、大画面テレビを部屋の壁に貼りつけたり、スパイダーマンのようにビルの壁をスイスイ登ったりできるようになるのでしょうか。

カテゴリー: 論文 パーマリンク