体内の心臓ペースメーカーを光で充電可能に? 産総研・都 英次郎研究員らのACIE論文をChemistry Viewsが紹介

独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)・都 英次郎研究員らの研究グループは、カーボンナノチューブの特性を素子に組み入れることにより、生体内で発電可能な新しい光熱発電素子を開発しました。

現在、心臓ペースメーカーなど体内に埋め込まれた医療機器の駆動には主としてリチウムイオン電池が用いられています。しかし十年程度で電池が寿命を迎えるため、電池交換のための外科手術が必要となり、患者にとって大きな負担となってきました。今回開発された光熱発電素子は、ラットの体内に埋め込んだ状態で、生体透過性の高いレーザー光を照射することによって発電できることが確認されました。今後、外科手術による電池交換に代わる、体内埋め込み型医療機器への新たな電力供給方法の実現につながることが期待されます。

この研究結果をまとめた論文は、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) に掲載されました(現在Early Viewとしてオンライン先行公開中)。その内容をWiley-VCHとChemPubSoc Europe(欧州の16化学会の連合体)による化学ニュース配信サイト Chemistry Views が紹介しています。

・Chemistry Viewsの紹介記事 (無料公開)
⇒ Shine a Light Instead of Changing the Battery

・ACIEに掲載された論文 (本文の閲覧には同誌の購読が必要です)

Miyako, E., Hosokawa, C., Kojima, M., Yudasaka, M., Funahashi, R., Oishi, I., Hagihara, Y., Shichiri, M., Takashima, M., Nishio, K. and Yoshida, Y. (2011), A Photo-Thermal-Electrical Converter Based On Carbon Nanotubes for Bioelectronic Applications. Angewandte Chemie International Edition. doi: 10.1002/anie.201106136

・産総研によるプレスリリース
⇒ プレスリリース: 生体内で発電できる光熱発電素子

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