<論文紹介> アルカンを選択的に酸化、再利用可能なメソポーラス有機シリカ固定化Ru触媒 / 北大・ 福岡淳教授らが開発 (Chem. Eur. J.・VIP)

炭化水素類の選択的酸化は、高価値な化学原料や医薬品の合成に役立つ重要な反応ですが、この反応に金属錯体触媒を用いると、触媒の配位子自体が酸化されて活性の低下を招くのが難点でした。この課題を克服するため、北海道大学触媒化学研究センター・福岡 淳教授らのグループは、ビピリジン基を導入した多孔体メソポーラス有機シリカ(BPy-PMO)を担体として、その細孔壁にRu錯体を固定化した新しい触媒を開発しました。福岡教授らは、この触媒がアダマンタンおよびデカリンの3級C–H結合の酸化反応において高い位置選択性を示すとともに、反応後は元の触媒活性・選択性を維持したまま再利用可能なことを明らかにしました。

触媒の回収・再利用はグリーンケミストリーの観点から重要であるため、この発見に基づいて多様な新触媒の実現が期待されます。この成果はChemistry - A European Journal (Chem. Eur. J.) で報告され、同誌の注目論文VIP (Very Important Paper) に選ばれるとともに、化学ニュースサイト Chemistry Viewsで紹介されました。

Chemistry - A European Journal

■ Chem. Eur. J.では、二人の査読者が特に重要性を認めた論文をVIP (Very Important Paper)に選んでいます。
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