<論文紹介> ナノカーボン・ハイブリッド材料の可能性|触媒、エネルギー変換・貯蔵、センサーなどへの応用に期待 (Adv. Mater. 総説)

Advanced Materialsフラーレン、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェンといったナノカーボン材料に関する研究は、化学・材料科学の中で大きな位置を占めるようになりました。さらに最近では、ナノカーボン材料と他の材料を組み合わせた「ナノカーボン・ハイブリッド材料」への注目が高まり、研究の新しい潮流となりつつあります。この分野の新展開をまとめた総説(Progress Report)が、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学(独ミュンスター)物理化学研究所のDominik Eder教授らによってAdvanced Materials誌で発表されました。

似た概念であるナノカーボン複合材料(nanocarbon composite)が高分子・セラミック・金属などの中に少量のナノカーボンを混ぜ込んだものを指すのに対して、ナノカーボン・ハイブリッド材料(nanocarbon hybrid)は、ナノカーボン材料の表面を他の材料でコーティングしたものと定義されています。半導体・高分子・セラミック・金属など多様な材料との組み合わせによってさまざまな機能が実現することから関心を集めるようになり、過去5年ほどの間に論文数が大きく伸びています。

今回の総説では、ナノカーボン・ハイブリッド材料の合成戦略、ハイブリッド化がもたらす相乗的物性、さらに触媒・エネルギー貯蔵・太陽光エネルギー変換・センサーなどの分野への応用に関わる近年の成果が体系的に紹介されています。単体のナノカーボン材料と比べると研究の歴史が浅いこの分野で、今後の発展可能性を探るための参考とするには格好の文献です。

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