Wileyの神経科学ジャーナル9誌の間で査読結果の転送が可能に|リジェクトされた論文の他誌への再投稿時に、査読のやり直しを省略し採否判断を迅速化、6か月間の試験運用を予定

Wileyは、同社の神経科学分野ジャーナル9誌の間で、ひとつのジャーナルにリジェクトされた論文が別のジャーナルに再投稿された場合に、前回の査読レポートをジャーナル間で相互に転送可能とするプログラムを開始、最低6か月間の試験運用を行うと発表しました。再投稿時に査読プロセスの重複を避け、出版の迅速化や査読者の負担軽減を図ることを目的としています。

一般に論文の査読には平均80日間かかると言われますが、通常は論文が著者の第一希望のジャーナルでリジェクトされた場合、他誌に再投稿すると、それだけ日数のかかる査読プロセスが最初から繰り返されることになります。その分出版が遅れるだけでなく、査読者にとっての負担増にもつながっています。

今回のプログラムに参加したジャーナル9誌は、それぞれ従来と同じ書式の査読レポートを使いながら、9誌間で共通の「スコアカード」を新たに採用します。対象となる9誌の間で著者が論文を再投稿する際、著者は従来通り査読を最初からやり直してもらうことも選べますが、採否の決定を早めるために前回の査読結果を再利用してもらうという新たな選択肢を利用できるようになります。その場合、前のジャーナルでの査読レポートとスコアカードが、新しいジャーナルに転送されて採否の判断に使われます。著者は、再投稿時に前回の査読結果による指摘を踏まえて、論文を改訂してから提出することも認められます。

対象となるのは次の9誌です。Brain and Behavior, Human Brain Mapping, Hippocampus, Journal of Comparative Neurology, Journal of Neuroscience Research, Depression and Anxiety, Developmental Neurobiology, Synapse, Genes, Brain & Behavior

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