<論文紹介> 発見から一世紀を経て勢いづく「ケテンの高分子化学」の新展開(Craig J. Hawker教授による総説・無料公開中)

Polymer Chemistryクリックケミストリーによる機能性高分子材料創出の研究で名高いCraig J. Hawker教授(カリフォルニア大学サンタバーバラ校・2013年ACS Award in Polymer Chemistry受賞)らによる、ケテンを用いた高分子化学の新展開に関する総説です。

高分子化学の創始者とされるヘルマン・シュタウディンガー(Hermann Staudinger・1953年ノーベル化学賞受賞)によって1905年に発見されたケテン(ketene)は、そのユニークな反応性からさまざまな合成反応への用途が期待され、多くの有機化学者の関心を集めてきました。しかしケテンは反応性が高すぎて取り扱いが困難と考えられたため、高分子化学の分野では、Hawker教授によると「発見からほぼ一世紀の間ほとんど忘れられた」存在でした。近年になって、メルドラム酸などのケテン前駆体を反応に用いる手法が開発されたことにより、ケテンの高分子化学はこれまでにない盛り上がりを見せているとのことです。この総説では、そういった成果を体系立てて解説しています。

 ⇒ Leibfarth, F. A. and Hawker, C. J. (2013), The emerging utility of ketenes in polymer chemistry. J. Polym. Sci. A Polym. Chem., 51: 3769–3782. doi: 10.1002/pola.26797 icon_free(無料公開中)

■ 材料科学ニュースサイトMaterials Viewsによる解説記事 The Return of the Ketene (September 19, 2013, Materials Views)

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