東京大・長野哲雄教授、浦野泰照教授らの研究グループによる近赤外発光ホタルルシフェリンの設計・開発に関する論文がAngew. Chem. Int. Ed.のHot Paperに選ばれる

東京大学大学院薬学系研究科・長野 哲雄教授、同医学系研究科・浦野 泰照教授らの研究グループによる、in vivo光イメージングに用いるための近赤外発光ホタルルシフェリンの設計・開発に関する論文が、Angewandte Chemie International Edition (ACIE)のHot Paperに選ばれました。
 ⇒ Hot Paper: Rational Design and Development of Near-Infrared-Emitting Firefly Luciferins Available In Vivo

生体内で分子の動きを画像化するin vivo光イメージングにおいて、ホタルの発光物質であるホタルルシフェリンなどによる生物発光法は、発光に外部からの励起を必要としないという利点があります。しかし生物発光による可視光は体内のヘモグロビンなどから影響を受けやすいため、体内深部の高感度イメージングに用いるには問題があります。可視光の代わりに近赤外光を発するように発光特性を制御しながらルシフェリンを改変するのはこれまで困難とされてきましたが、同研究グループは生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)という現象に注目し、蛍光色素分子をBRETのエネルギーを受け取るBRETアクセプターとしてホタルルシフェリンに結合させる方法を試みました。発光特性の異なるさまざまな蛍光色素分子の中から適切なものをBRETアクセプターに選ぶことによって、発光の波長を制御することが可能になりました。その結果、波長の異なる近赤外光を発する複数のホタルルシフェリン誘導体を合成することに成功、さらにそれらのルシフェリンがマウスのin vivo光イメージングに実際に利用できることが確認されました。

この論文は、Early Viewとしてオンライン版で先行公開されています。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
 ⇒ Kojima, R., Takakura, H., Ozawa, T., Tada, Y., Nagano, T. and Urano, Y. (2012), Rational Design and Development of Near-Infrared-Emitting Firefly Luciferins Available In Vivo . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201205151

☆ ACIEでは、急速な展開によって注目を集めている分野における研究で、編集委員が特に重要性を認めた論文をHot Paperとしています。
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