中国の研究グループが「突然死」を招く未知のキノコ毒の分離・合成に成功

中国南西部の雲南省では、健康な人々が原因不明の突然死に見舞われる事例が多発し、過去三十年間に260人以上が犠牲になってきました。

中国科学院昆明植物研究所ほかの研究グループが現地で産生するキノコ(右の写真。Trogia venenata Zhu L. Yangと命名)を調べた結果、γ-グアニジノ酪酸とともに二種の未知のアミノ酸を分離、その後それらの合成にも成功しました。マウスによる実験でこれらのアミノ酸の毒性が確認され、またそのうち一種が突然死の犠牲者の血液からも検出されたことなどから、このキノコが突然死の原因と特定されました。最近は雲南省の住民にこのキノコの毒性を周知する啓蒙活動が奏功し、2010年・11年の両年は突然死の発生が見られなくなったとのことです。

この中国の研究グループがまとめた論文は、このほどAngewandte Chemie International Editionへの掲載が決まり、Early Viewとしてオンラインで先行公開されています。

Zhou, Z.-Y., Shi, G.-Q., Fontaine, R., Wei, K., Feng, T., Wang, F., Wang, G.-Q., Qu, Y., Li, Z.-H., Dong, Z.-J., Zhu, H.-J., Yang, Z.-L., Zeng, G. and Liu, J.-K. (2012), Evidence for the Natural Toxins from the Mushroom Trogia venenata as a Cause of Sudden Unexpected Death in Yunnan Province, China. Angewandte Chemie International Edition. doi: 10.1002/anie.201106502

この論文については、化学ニュースサイトChemistry Viewsも紹介しています。
 ⇒ Chemistry Views: Deadly Chinese Mushrooms

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