The Chemical Record誌から「新規芳香族化合物」特集号 / 国際学会ISNAの発表者による総説を収載

日本化学会とWiley-VCHが共同出版する論文誌 The Chemical Record の2015年2月号 (Volume 15, Issue 1) は、Novel Aromatics(新規芳香族化合物)を主題とする特集号として発行されました。芳香族化学に関する国際学会The International Symposium on Novel Aromatic Compounds (ISNA) で最近講演・発表を行った有力な化学者による総説 (Personal Account) 23報を集めた充実した内容となっています。この特集号は2015年12月末まで無料公開され、同誌の購読がなくてもすべての収載論文をお読みいただけます。

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東北大学で活躍した有機化学者 故・野副鉄男博士(1902-1996年)が1970年に退官を迎えたのを記念して、野副氏と同じ芳香族化学を専門とする著名な化学者が世界各国から仙台に集まったのがISNAの出発点です。野副氏は、この初回から亡くなる前年の1995年にドイツのブラウンシュヴァイクで開かれたISNA-8まで欠かさず参加しました。ISNA-8に参加した93歳の野副氏が、若い化学者に囲まれながら情熱をもってポスター発表を行う様子が、一昨年に掲載されたThe Chemical Record誌のエッセイで描かれています。

The Chemical Record誌は、その野副氏が残した世界の化学者との交流を伝える1200頁のサイン帳のオンライン復刻企画を進めてきました。今回の特集号は、同企画の完結に合わせて発行されたもので、最近のISNAで講演または口頭発表を行った内外の化学者によるPersonal Account(自身の研究を中心とする総説)を集め、芳香族化学の多様な広がりと可能性を伝えています。京都工芸繊維大・清水 正毅教授、大阪大学・戸部 義人教授、京都大・大須賀 篤弘教授、同・小松 紘一名誉教授、理研・瀧宮 和男グループディレクター、大阪大・久保 孝史教授、北海道大・鈴木 孝紀教授、大阪大・平尾 俊一教授(過去記事「スマネンの化学」で紹介)、首都大学東京・伊與田 正彦特任教授ら日本の化学者からの寄稿も多く収載しています。

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