論文のコレスポンディングオーサーがGmailアドレスを使うのはOK? 所属機関アドレスを使う著者は2010年時点で全体の75%まで減少

emailジャーナルに掲載される論文には、共著者の中で対外的な代表者となるコレスポンディングオーサー(責任著者)の連絡先として、住所とともにメールアドレスが記載されます。一般的には「~.ac.jp」のような所属機関のアドレスが使われていて、それが当たり前と思っている人が多いかもしれませんが、よく見るとGmailなど一般プロバイダのアドレスを載せている著者も散見されます。皆さんは論文でそのようなアドレスを使うことに抵抗を感じますか、それとも全く気になりませんか?

このほどポーランドの研究グループが行った調査によると、2010年に出版された論文のコレスポンディングオーサーのうち、約25%がGmail, Yahooなど一般プロバイダのアドレスを使用し、またその割合が十年前と比べて大きく上昇していることが分かりました。この結果は、アメリカ情報科学技術協会誌 Journal of the American Society for Information Science and Technology で論文として報告されました。

Journal of the Association for Information Science and Technology

同グループは、Web of Scienceを使って、2000・2005・2010年にそれぞれ出版された論文のうち高引用論文と低引用論文(= 引用ゼロ)を1千報ずつ抽出し、コレスポンディングオーサーのメールアドレスを分析しました。その結果、2000年の時点では、高引用・低引用論文とも所属機関アドレスが約97%を占め、一般プロバイダのアドレスは2~3%に留まっていたのに対し、2010年にはともに所属機関アドレスが約75%、一般プロバイダのアドレスが約25%と比率が大きく変化しました。一般プロバイダアドレスの増加は、低引用論文で先行し、高引用論文が後を追う形で進んだようです。(中間年にあたる2005年では、一般プロバイダアドレスの割合は高引用論文で2.8%、低引用論文で18.5%)

論文でどちらのアドレスを使うかについては、研究者の間でも意見が分かれています。この論文では、科学者のネットワーキングサイトResearchGateのユーザーが2012年に行った議論が紹介されていますが、それによると、一般プロバイダのアドレスを使うことに対しては「所属先を持たないように見える」「プロフェッショナルでない」といった否定的な意見がある一方、「所属先が将来変わりやすい若手研究者には好都合」のように肯定する人もいます。

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