YouTube動画で論文読者を獲得する時代? Wileyの社会科学誌Family Processが「ビデオ・アブストラクト」を導入、動画なしの論文よりダウンロード回数が82%増

論文の内容を簡潔にまとめたアブストラクト(抄録)や、それを画像で伝える「グラフィカル・アブストラクト」(ジャーナルの目次 = table of contents に載るため TOC image とも呼ばれる)は皆さんおなじみでしょう。さまざまなジャーナルから面白いグラフィカル・アブストラクトを集めたサイト TOC ROFL をチェックしている人もいるのでは。テキスト、画像ときたら次は動画、というのはネットの世界の自然な流れですが、はたして論文誌も同じような進化の道をたどるのでしょうか?

家族研究を専門とするWileyの社会科学誌 Family Process は、2012年から一部の論文で動画による「ビデオ・アブストラクト」の公開を開始しました。同誌のエディターが、Wileyのブログ Exchanges への寄稿でこの試みを紹介しています。

Family Process誌のビデオ・アブストラクトは、論文の著者が自分で撮影した動画で、論文の内容をおおむね3~5分でプレゼンするものです。動画は同誌のYouTubeチャンネルFamilyProcess1で公開され、誰でも見ることができます。具体的にどういうものかは、下の例をご覧下さい。

Wileyの調査によると、同誌でビデオ・アブストラクトが公開された論文は、それ以外の論文と比べて平均で82%もダウンロードされる回数が多くなり、ビデオ・アブストラクトが読者の関心を高める効果をはっきりと示しました。最近では、英語版と並行して著者の母国語版(中国語やスペイン語)の動画を公開する試みも始まっているそうで、著者の自国からのアクセス増加につながるか注目されます。

同じような動きは、理工医学のジャーナルでも進むでしょうか? また、自分もやってみたいと思いますか?

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