今年は世界結晶年2014 (IYCr2014)! 国際結晶学連合(IUCr) Gautam R. Desiraju会長にインタビュー (Chemistry Views)

今年2014年は、X線回折現象を初めて発見したマックス・フォン・ラウエのノーベル物理学賞受賞(1914年)からちょうど百年にあたります。ラウエの翌年には、X線回折による結晶構造解析に成功したブラッグ親子もノーベル物理学賞を受賞、彼ら3人は近代結晶学の創始者とされています。

彼らの業績を記念して、The International Union of Crystallography(IUCr, 国際結晶学連合)とUNESCOは、本年をThe International Year of Crystallography 2014 (IYCr2014, 世界結晶年2014)と定めました。1月20・21日にパリのUNESCO本部で開幕セレモニーが行われるほか、日本では世界結晶年2014 日本委員会が結成されるなど、世界各国で記念年に向けて機運が高まっています。

IUCr会長として世界結晶年2014を主導するGautam R. Desiraju教授(インド理科大学院)は、このほど化学ニュースサイトChemistry Viewsのインタビューに答え、この記念年に込める思いを語りました。同教授は、世界結晶年2014の目的として、結晶学コミュニティの国際的な交流と特に開発途上国での研究の振興を挙げ、そのための活動行事の例として、パキスタン・ブラジル・南アフリカでそれぞれ開かれる研究者・学術行政関係者によるサミット会議を紹介しています。

このインタビューでDesiraju教授は、一般の人々には化学の良い面よりも悪い面がよく知られ、また過去の偉大な化学者のことが、アインシュタインやワトソン&クリックのような他の分野の科学者ほど知られていない現状に懸念を示し、化学の役割について社会に理解してもらうために学校教育のレベルから改善する必要があると語っています。

さらにDesiraju教授の話は、現在のインドの科学・化学界の状況に対する考えにも及んでいます。1970年代に米国(イリノイ大学)で学んだ後インドに帰国、のちに結晶学の世界的権威となった同教授は、インドの科学・化学界に残る古い体質を「封建的・父権主義的」などと強い口調で批判する一方、近年の改革により国内でこれまで大学のなかった地域に新たに大学が創立され、教育を受ける若者が増えていることに希望を見出しています。

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