インパクトのある表紙画像で、論文読者のハートを鷲掴み! 良い表紙画像を作るコツと成功例を、化学ジャーナルのエディターが解説

How Toオンライン連載記事「良い論文を書くコツ」やウェブセミナー「読み手にインパクトを与える化学論文を書くコツ」で好評をいただいたAsian Journal of Organic Chemistry (Asian JOC)のエディター Dr. Richard Threlfallが、シリーズ番外編?として「良い表紙画像を作るコツ」を伝授する記事を公開しました。化学ニュースサイトChemistry Viewsで読むことができます。

論文がアクセプトされたら一安心で、表紙画像(cover art)のことは気にかけていない人も多いかもしれませんが、自分の論文がジャーナルの表紙を飾れば名誉なことですし、何より画像が注目を集めれば、論文の読者の増加にもつながります。有名な表紙画像の例では、2007年にCell誌の表紙を飾った荒木飛呂彦のイラスト(参考:ケムステーションさんの記事)が、学術誌の話題としては破格といえる大ニュースになりました。さすがにその真似はできないにしても、限られた予算で極力センスのいい表紙画像を掲載し、世界の読者に向けて研究成果をアピールしたいものです。

良いお手本としてThrelfall氏が自分のジャーナルAsian JOCから取り上げたのは、下に掲載した大阪大・南方 聖司教授研究室による「カルボン酸アミドによるオキサゾリン縮環フラーレン誘導体の直截的合成」に関する論文の表紙画像です。この論文は、2013年1月号に表紙画像とともに掲載された後、同年2月から4か月連続で同誌の最多アクセス論文になりました。論文の内容が注目されたことが最大の理由というのは疑いありませんが、この印象的な表紙画像が後押しがあったとしても不思議はありません。

Asian Journal of Organic Chemistry

表紙画像を作る際の心構えについて、Threlfall氏は「イグ・ノーベル賞の精神に学べ」と説いています。イグ・ノーベル賞がモットーにしているのは“Research that makes people LAUGH and then THINK”(人々を笑わせ、そして考えさせる研究)ですが、それに倣って、まず読者に一目で強いインパクトを与え、次に内容について考えさせることをめざすとよいということです。また、日本発の論文であれば日本文化の要素を画像に取り入れるのも、国際的な読者の関心を引くために効果的な方法のようです。上の画像は、それら両方を兼ね備えた好例ですね。

上の記事では、Asian JOC以外の各ジャーナルの編集長・エディターも、自分のジャーナルから表紙画像の「傑作」を選んで寸評を加えていますので、参考にされてはいかがでしょうか。

  • 表紙画像の仕様や投稿方法については、各ジャーナルのAuthor Guidelines(投稿規定) 中に項目があるはずですので、それに従って下さい。例えばAsian JOCであればGuidelines for Cover Pictures and Frontispiecesになります。(”Frontispieces”は、1つの号の中でCommunications, Reviewsのような各セクションの前に付く「口絵」)
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