統計学の速報誌Statが、査読者による選択制で査読コメントのネット公開を開始|著者や読者も意見を投稿可能、議論の促進を図る

The International Statistical Institute(ISI, 国際統計協会)とWiley-Blackwellが昨年2012年に創刊したオンライン・オンリーの速報誌“Stat”は、査読者が承諾した場合、アクセプトされた論文の査読コメントをネットで公開すると発表しました。査読コメントは当事者以外の目に触れさせないのが論文誌の一般的な慣行となっている中、異例の試みといえます。
 ⇒ Statblog to post reviewers’ comments (ソース: 統計学ニュースサイト Statistics Views)

統計学の全領域をカバーするStat誌は、10ページ以内の良質の短報を迅速に出版することをめざし、投稿から30日以内に査読を経てオンライン公開することを目標に置いています。出版プロセスの迅速化のため、投稿論文はリビジョンなしで採否が決定されます。

今後、同誌の査読者は、論文がアクセプトされた場合、自分のコメントを公開するかどうか選択できます。公開を選んだ場合、査読コメントは同誌のブログStatblogに査読者の名前を含めて掲載されます。一方、該当の論文の著者は、査読コメントが公開されることの通知を受け、掲載された査読コメントに対する返答を投稿することができます。その後は、読者がさらにコメントを追加して議論を発展させたり、別の角度からコメントを加えたりできます。読者コメントの公開は編集部による承認制で、不適切と判断されたコメントは非公開になります。

査読コメントの公開を通じて、著者や読者の参加による学問的議論を促そうという、いかにもソーシャル時代らしい試みです。今後どのように発展していくか注目されます。

★ Stat誌は2013年末まで、機関単位での申し込みにより無料アクセスが可能です。詳しくは、当ブログの次の記事をご参照下さい ⇒ ISIとWiley-Blackwellが統計学の速報誌”Stat”を創刊|論文投稿から30日以内のオンライン出版をめざす

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