イングランドがPK戦に勝てないのは実力、それとも不運? 統計学はこう見る(Significance Magazineから)

サッカーの欧州選手権・ユーロ2012は準々決勝が終了、イングランド代表はイタリアにPK戦で敗れました。イングランドは重要な試合でいつもPK戦に勝てないイメージが強いですが、実際の成績はどうでしょうか?

イングランドのPK戦での通算成績は、ワールドカップでは3戦全敗、欧州選手権では今回を含めて1勝3敗で、合わせて1勝6敗となっています。英国王立統計学会とWiley-BlackwellによるウェブマガジンSignificance Magazineでは、これら二大会でPK戦を5回以上経験したヨーロッパ各国代表の成績をまとめていますが、それによるとPK戦に強い伝統を持つドイツが5勝1敗でトップに立つ一方、イングランドの成績は該当する6か国の中で最下位です。
 ⇒ Significance Magazine – England can’t win on penalties? Probably

果たしてこれは、イングランドが何らかの理由で本当にPK戦に弱いのか、それとも単なる偶然でツキがないだけなのか、どちらでしょうか? Significance Magazineの記事では、統計学的な見方を紹介しています。

  • 「イングランドがPK戦に勝つ確率は五分五分(=PK戦の実力では劣らない)」という仮説を立て、その正しさを判定します(仮説検定)。この仮説が正しいとすれば、7回のPK戦で1回以下しか勝てない確率は、7回コインを投げて1回または0回しか表が出ない確率に等しく、6.25%(1/16)と計算されます。
  • 一見、非常に低い確率に見えますが、統計学的には十分に低い確率といえません。統計学では通常、仮説の下で5%以下の確率でしか起こらない事象が起こって初めて「この仮説は可能性が低い」として棄却します。従って、確率6.25%の現段階では「イングランドはPK戦の実力で他国チームに劣らない」という仮説を棄却できない、すなわちイングランドは単に不運なだけであってもおかしくないと判定されます。

しかしイングランドが次回のPK戦で負けたら、確率が5%を下回るので単なる偶然とは考えにくいと判断され、イングランドが本当にPK戦に弱いという説が統計学的な根拠を持つようになります。

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