<コクラン・レビュー論説> 非対照試験のエビデンス採用は引き続き慎重に|スタチンの血清脂質改善効果に関する最近のレビューを例に


コクラン・レビュー2012年12月号の論説(Editorial)は、同号でオンライン公開されたアトラバスタチンの血清脂質改善効果に関するレビュー を例に、システマティック・レビューにおける非対照試験の取り扱いについて論じています。
 ⇒ Higgins J. Convincing evidence from controlled and uncontrolled studies on the lipid-lowering effect of a statin [editorial]. Cochrane Database of Systematic Reviews 2012 Dec 12;(12):ED000049.

該当のレビューは、高脂血症治療薬アトラバスタチン(製品名リピトール)の脂質降下作用について、33,000人以上の患者を対象にした254の試験結果を総合的に分析した労作で、10~80 mg/日の服用で36~56%のLDLコレステロール低下効果があると結論しています。論説によると、このレビューで特徴的なのは、エビデンスとして採用した254の試験の中に、介入群と比較対照群を区別しない非対照試験が205件含まれていたことです。ランダム化比較試験への依拠を基本とするコクラン・レビューの方針からすると、これは異例のことです。

論説では、このレビューは49のランダム化比較試験と205の非対照試験の結果を比較し、その結果に一貫性が見られることを確認したうえでエビデンスに採用しているので、信頼性を疑う余地はほとんどないとしています。その一方で、非対照試験の結果をエビデンスとして扱うには慎重を要することに変わりないとして、今回のレビューを先例として非対照試験を安易に採用する動きを戒めています。

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