<書籍紹介> がん診療に必携・TNM病期分類Supplement最新版

TNM Supplement: A commentary on uniform use, 4th Edition
Christian Wittekind
ISBN: 978-1-4443-3243-8
Paperback / 284 pages / April 2012
$55.00

がん診療に必須の文献とされるTNM病期分類で、本編に含まれない詳細な補足説明を提供する”Supplement”の最新第4版が、Wiley-Blackwellから刊行されました。
UICC日本委員会・TNM委員会委員長を務める国立がん研究センタ-中央病院の淺村 尚生先生に本書の意義を解説いただきましたので、ぜひご一読下さい。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

悪性腫瘍のTNM病期分類は,現代のがん診療には欠くことのできないツールであり,これを基盤として,がんの治療計画がたてられ,予後の予測や比較が行われております.第7版のTNM病期分類は,Wiley-Blackwellより2009年末に刊行され(”TNM classification of malignant tumours, 7th edition”),新規約そのものは2010年1月より発効されております.TNM病期分類は,もともとスイスのジュネーブに本部を置くUICC (Union for International Cancer Control)が定義と改訂を行っており,私の所属するTNM Prognostic Factors Core Groupという委員会が実務を担当しています.

UICCとしては,TNM病期分類に関して,伝統的に3つの刊行物を出版しており,既に刊行されている上記に加え,”TNM Supplement”と”TNM Atlas”の2つがそれです.このうち,Wileyから,“TNM Supplement”がこの度ようやく刊行されます.この本は,通称“TNM本”に加えて,手元に置くべき重要なもので,是非ご一読されることをおすすめ致します.文字通り,この本の目的な”supplementary”であって,本編で説明し尽くせなかったTNM分類にかんする補足説明を,総論と各論について詳細に展開しているものです.TNM分類では,各因子を必要に応じてさらに細分化することができますが,その際の注意事項も詳しく述べられております.また,正式に決定されてはいないが,すでに試用の段階にある臓器がんのTNM分類が掲載されております.例えば,胸腺腫瘍,慢性骨髄性白血病,副腎皮質癌,などがこれに該当致します.関係学会の先生方にとっては,今後の方向を確認する上で重要な情報であると思います.

これらの内容は,TNM分類の本体と不可分の,大変重要な情報であることから,是非手元に置かれ,必要に応じて参照して欲しいとおもいます.内容は,”supplement”の範囲にとどまるものではありません.

独立行政法人 国立がん研究センタ-中央病院 呼吸器外科長
UICC日本委員会 TNM委員会委員長
UICC TNM Prognostic Factors Core Group 委員

淺村 尚生

No related posts.

カテゴリー: 腫瘍学   タグ:   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。