高分子化学の創始者ヘルマン・シュタウディンガーが今日で没後50年(9月8日)

Hermann Staudinger当ブログの記事でもご紹介した、化学ニュースサイトChemistry Viewsのクイズ Guess the Chemist(この化学者はだれ?)の第45問の正解は、ドイツの化学者で高分子化学の創始者として名高いヘルマン・シュタウディンガー(Hermann Staudinger, 1881-1965)でした。Chemistry Viewsでは、今日9月8日に50回目の命日を迎えた彼の略歴を、正解発表とともに紹介しています。

20世紀の初め、高分子の概念はまだ化学界に知られていませんでした。シュタウディンガーは、1920年に発表した画期的な論文 “Über Polymerisation” で、ゴムなどの物質は分子が共有結合で鎖状に連なった巨大分子だと主張しました。当時の常識に基づきそのような巨大分子はありえないとする化学界の反発を受けながらも、彼は実験的証拠を粘り強く積み重ね、やがて彼の高分子説は徐々に受け入れられていきました。現在に至る高分子化学の礎となったこの功績により、シュタウディンガーは1953年にノーベル化学賞を受賞しています。

Macromolecular Chemistry and Physicsところでシュタウディンガーは、化学出版の分野でも現在まで脈々と続く重要な足跡を残しています。1943年に世界で初めての高分子化学専門誌とされる Journal für Makromolekulare Chemie を創刊し編集長を務めたのが、ほかならぬシュタウディンガーです。第二次大戦終戦前後の混乱の中で発行が滞った同誌を、彼は1947年に Die Makromolekulare Chemie という新誌名で再出発させました。この雑誌は1994年に Macromolecular Chemistry and Physics に改称され、現在はWileyが出版社となってその歴史を受け継いでいます。

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