傷跡を残さない虫垂炎手術法「経胃的虫垂切除」、ドイツで患者14人に試験的に実施され経過は良好

Video-Transgastric-access-to-the-abdominal-cavity体表面に傷を作らず軟性内視鏡を用いて人体の自然孔から虫垂など消化器の患部を切除するNOTESと呼ばれる手術法は、傷跡を残さず痛みや創感染のリスクも軽減できる低侵襲手術として近年消化器内科医、外科医の注目を集めています。NOTESにはいくつかの方法がありますが、そのうち口腔から軟性内視鏡を挿入して行う経胃的虫垂切除は、以前より実験的に行われてきました。しかし、軟性内視鏡を扱える外科医が少なく、また既に確立している外科手法を置き換える倫理的な問題のためか、まだ実用化には至っていません。今回British Journal of Surgery誌で発表された論文は独マンハイムのハイデルベルク大学病院の医師グループによって特定の患者群を対象に行われた経胃的虫垂切除の結果を報告します。

全文に無料でアクセス頂けます
Transgastric appendicectomyfree_access
G. Kaehler, M. B. Schoenberg, P. Kienle, S. Post, R. Magdeburg
*Supporting Informationとして手術の様子を記録した動画もご覧いただけます。

⇒プレスリリース Need Your Appendix Out? How About Scarless Surgery Through the Navel

111名の対象患者のうち、同意した患者14名に対して経胃的虫垂切除が行われました。手術に伴う切開創は、臍部からトロッカーを挿入するための大きさ5mmのもの一つだけでした。腹膜炎を併発していた2名の患者は切除後に腹腔洗浄を要しましたが、残りの12名については平均3日間で問題なく退院し、6週間と6か月後の電話によるインタビューでも問題ないことが確認されました。この研究結果により、経胃的虫垂切除の実用化の可能性が示唆され、今後は更なる臨床試験と多施設共同研究が計画されているとのことです。

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カテゴリー: 内視鏡学, 外科学, 消化器病学   タグ:   この投稿のパーマリンク

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