<論文紹介> 「興奮剤DMAA(ジェラナミン)はゼラニウム由来の天然物」はウソ - 成分分析で明らかに

「ジェラナミン」という名前でも知られるDMAA(1,3-ジメチルアミルアミン)は、運動前に飲む(プレワーク)スポーツサプリメントやダイエット用の栄養補助食品に使われている、興奮・覚醒作用を持つ物質です。DMAA含有製品を服用した米軍兵士2人が死亡したことから、国防総省が軍施設での販売を一時中止したり、製品の安全性の根拠を提出していないサプリメント販売業者10社に米FDAが警告文書を送るなど、最近はその安全性が議論の的となっています。

市販のDMAA製品は、安全性を強調するため「DMAAはゼラニウムオイル由来の天然物」と謳う例がしばしば見られます。しかしテキサス大学アーリントン校のDaniel W. Armstrong教授らの研究グループが合成DMAAおよびゼラニウム抽出物と市販のDMAA含有製品を分析した結果、市販製品中のDMAAはゼラニウム由来ではなく合成物としか考えられないことが明らかになりました。教授らが産地の異なる8種類のゼラニウム抽出物を分析したところ、そのうち6つからはDMAAが全く検出されませんでした。残り2つの抽出物からは10ppb(1億分の1)以下という極めて微量のDMAAが検出されましたが、標準的な合成DMAAとは立体異性体の構成比率が明確に異なっていました。一方、市販のサプリメントに含まれるDMAAは、製品を問わず立体異性体の比率が合成DMAAと完全に一致しました。

Armstrong教授らによる分析結果は、Drug Testing and Analysis 誌で論文として発表されました。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
 ⇒ Zhang, Y., Woods, R. M., Breitbach, Z. S. and Armstrong, D. W. (2012), 1,3-Dimethylamylamine (DMAA) in supplements and geranium products: natural or synthetic?. Drug Test Analysis. doi: 10.1002/dta.1368

また、この論文の内容についての解説記事を、化学ニュースサイトChemistry Viewsで読むことができます。
 ⇒ Chemistry Views – Sports Supplement Origin: Synthetic vs. Natural

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