京都工芸繊維大・清水 正毅教授らの論文を動画で紹介するビデオ・アブストラクトが公開される

京都工芸繊維大学 分子化学系・清水 正毅教授らは、有機蛍光材料2,5-ジアミノテレフタル酸ジチオエステルの特性を報告する論文を、昨年11月に European Journal of Organic Chemistry (EurJOC) 誌で発表しました。このほど、この論文の内容を紹介する動画 (ビデオ・アブストラクト)が、動画サイトvimeoで公開されました。

European Journal of Organic Chemistry

清水教授らの論文は、昨年7月に当ブログでご紹介した ビデオ・アブストラクトを無償制作するキャンペーン で制作対象に選ばれました。このキャンペーンは、EurJOC とその姉妹誌 European Journal of Inorganic Chemistry (EurJIC) に掲載された論文の中から各10報を選び、両誌をWiley-VCHと共同出版する欧州各国化学会の連合体ChemPubSoc Europeがスポンサーとなって、動画を無償で制作するものです。

ビデオ・アブストラクトは、研究成果を視覚的に、分かりやすく多くの人に向けて発信するのに効果を発揮することが期待されます。今回のキャンペーンで用意された各10報の枠は、残りわずかですがまだ空きがあるとのことですので、両誌で論文の出版予定がある方は奮ってご応募下さい。詳細は 前のブログ記事 でご覧いただけます。

カテゴリー: キャンペーン, 論文 | タグ: | コメントは受け付けていません。

Macromolecular Bioscience誌から片岡 一則教授65歳記念特集号

ASN_Kataoka
Macromolecular Bioscience誌の2017年1月号(Volume 17, Issue 1)は、片岡 一則・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授(公益財団法人川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター・センター長)の65歳記念特集号として発行されました。

片岡教授はバイオマテリアル研究のパイオニアとして長年にわたり活躍し、特に高分子・超分子化学を利用したドラッグデリバリーなどナノ医療の分野で数々の先駆的な業績を残してきました。これまでに500報以上の査読済み論文を発表し、また100件以上の特許を取得した同教授は、多くの栄誉ある賞によって顕彰されるとともに、日本バイオマテリアル学会・高分子学会などの会長を務め、同分野の発展に貢献しています。

片岡教授の65歳の誕生日を記念する今回の特集号は、東京大学大学院工学系研究科のカブラル オラシオ准教授・宮田 完二郎准教授・長田 健介特任准教授の三氏を客員編集長に迎えて編纂されたもので、片岡教授が多大なインパクトを与えた研究主題を扱う原著論文・総説12報を掲載しています。同号は、2017年12月末まで無料公開される予定です。

カテゴリー: ジャーナル | タグ: | コメントは受け付けていません。

2016年12月のワイリー理工書ベストセラーはこちら! あのノーベル化学賞受賞者の新著もランクイン

日本で12月に最もよく売れたWiley(Wiley-Blackwell, Wiley-VCHを含む)の理工書トップ5をご紹介します。タイトルまたは表紙画像をクリックすると、目次やサンプル章(Read an Excerpt)など、詳しい内容をご覧いただけます。

Physics and Technology of Crystalline Oxide Semiconductor CAAC-IGZO1位 Physics and Technology of Crystalline Oxide Semiconductor CAAC-IGZO: Application to LSI
 Shunpei Yamazaki (Editor), Masahiro Fujita (Editor)
 ISBN: 978-1-119-24734-0
 Hardcover / 376 pages / December 2016

半導体技術に関する世界的イノベーターとして知られる山﨑 舜平氏(株式会社半導体エネルギー研究所代表取締役)と藤田 昌宏・東京大学工学研究科教授を共編者とする本書は、次世代の半導体材料として期待される結晶性酸化物半導体 CAAC-IGZO の物性とLSI技術への応用を多角的に論じ、ユニークな洞察を提供します。

Low-profile Natural and Metamaterial Antennas2位 Low-profile Natural and Metamaterial Antennas: Analysis Methods and Applications
 Hisamatsu Nakano
 ISBN: 978-1-118-85979-7
 Hardcover / 304 pages / September 2016

アンテナ工学の世界的研究者として知られる中野 久松・法政大学名誉教授の新著となる本書は、さまざまな種類の新規な素子による低姿勢アンテナを取り上げています。特に、従来の材料では実現できないユニークな特性をもつメタマテリアルのアンテナ技術への応用については、重点的に論じられます。

Simulation and the Monte Carlo Method, 3rd Edition3位 Simulation and the Monte Carlo Method, 3rd Edition
 Reuven Y. Rubinstein, Dirk P. Kroese
 ISBN: 978-1-118-63216-1
 Hardcover / 432 pages / October 2016

モンテカルロ・シミュレーションの理論と手法・応用に関する定評ある教科書の最新改訂版です。近年の研究の展開を反映して、スプリッティング法と確率的列挙法に関する新章を追加し、併せて各章の記述を改訂しています。

The Nature of the Mechanical Bond4位 The Nature of the Mechanical Bond: From Molecules to Machines
 Carson J. Bruns, J. Fraser Stoddart
 ISBN: 978-1-119-04400-0
 Hardcover / 786 pages / November 2016

「分子マシンの設計と合成」への貢献により2006年ノーベル化学賞を共同受賞した米ノースウェスタン大学のジェイムズ・フレイザー・ストッダート教授 (James Fraser Stoddart)の新著です。分子マシンの実現のために、カテナン・ロタキサンのように、パーツが化学結合ではなく機械的結合によって結び付いた構造を持つ「インターロック分子」が注目されています。このインターロック分子の研究における第一人者であるストッダート教授が執筆した本書は、最新の研究成果に基づき、インターロック分子の合成法とその性質、医薬品・光学・電子材料など各方面への応用の可能性までを、豊富な図版とともに幅広く解説します。当分野の基本文献として広くおすすめします。

Theory of Elasticity and Stress Concentration5位 Theory of Elasticity and Stress Concentration
 Yukitaka Murakami
 ISBN: 978-1-119-27409-4
 Hardcover / 472 pages / October 2016

村上 敬宜・九州大学名誉教授による本書は、弾性と応力集中の理論と工学的応用を、高度な数学を用いることなく解説します。


ご注文は最寄りの書店・ネット書店で承ります。

カテゴリー: 書籍 | タグ: | コメントは受け付けていません。

<論文紹介> 全合成の進化と化学・生物学・医学へのインパクト / K. C. ニコラウ教授による総説 (Isr. J. Chem.)

天然物全合成の世界的権威として名高いK. C. ニコラウ教授(米ライス大学)がこのほどIsrael Journal of Chemistryで発表した総説は、全合成研究の過程で得られたさまざまな発見や新たに開発された合成テクニックがもたらした進歩と、それが生物医学研究に与えた影響を論じる内容となっています。

Israel Journal of Chemistry

ニコラウ教授はこの総説で、彼の研究室でこれまでに全合成を手がけてきた Δ12-Prostaglandin J3, Shishijimicin A, Tubulysins といった抗がん活性物質や、全合成の究極の標的ともいわれる巨大分子マイトトキシン (Maitotoxin) を例に取り上げ、そこに見られる合成戦略とテクニックの進歩を提示します。

ニコラウ教授によるマイトトキシン全合成は、この分子を構成する32の環のうち未完成なのはわずか2つを残すのみというところまで迫りながら、大学での基礎研究に対する予算削減のために滞っています。同教授はこの総説を、アカデミックな研究は何よりも基礎研究に主眼を置き、合成のアートと科学の進歩それ自体を目的とすべきで、生物医学や材料科学への応用はそこから派生的に生まれるものだという主張で締めくくっています。

カテゴリー: 論文 | コメントは受け付けていません。

不倫サイトからハッカー集団が流出させた個人情報をソースにした、異例の地理学論文

Credit - sanjagrujic/Shutterstock

Credit – sanjagrujic/Shutterstock

既婚者が不倫相手を探すための出会い系サイト(不倫サイト)からハッカー集団が流出させた登録者データを利用して、サイト利用者の傾向を分析した異例の論文がAmerican Geographical Society (AGS, アメリカ地理学協会)の公式誌 Geographical Review に掲載され、反響を呼んでいます。

カナダに本社をもち世界的に活動する大手不倫サイト Ashley Madison (アシュレイ・マディソン) は、2015年にハッカー集団によって登録者データを盗まれ、3千万人以上の個人情報をネット上に流出させてしまいました。流出したデータには、同サイトの登録ユーザーの名前やメールアドレスに加えて、有料サービスの利用に使われたクレジットカードの課金履歴まで含まれていました。

今回の論文を書いた米トレド大学の研究者らは、そのデータから、クレジットカードの利用履歴がある米国居住の男性約70万人を抽出し、請求先住所を基にして地理的分布を調べました。その上で、各地域の平均所得や人種別比率、信仰の熱心さ、2012年大統領選挙での投票先などの属性との相関を分析しました。

その結果、所得の高い地域ほどサイト利用者数・平均課金額とも高く、不倫サイトの利用が一種の「ぜいたく品」となっていることが示されました。信仰に熱心な地域では利用者数・課金額とも低く、信仰心が不倫への歯止めになっていることを示唆しましたが、大統領選挙の結果に基づく政治的傾向とは有意な相関が見られませんでした。

著者らは、今回のような異例のデータソースを利用した研究が、これまで未開拓だった領域の解明につながる可能性に期待を寄せる一方、他の研究者に対して、対象となる人々のプライバシーを侵さないよう十分な配慮を呼びかけています。

カテゴリー: ちょっと一息, 論文 | コメントは受け付けていません。

<記事紹介> 合成香料ニトロムスクの化学史 (Eur. J. Org. Chem.)

Credit - Svetlana Lukienko/Shutterstock

Credit – Svetlana Lukienko/Shutterstock

香水の成分として知られるムスクは、麝香(じゃこう)とも呼ばれ、もともとは雄のジャコウジカの分泌物から得られました。ムスクは香料や生薬として古代から用いられてきましたが、その高い人気に対して、一頭のジャコウジカから少量しか採れない稀少性のため、非常に高価なものでした。そのため欧州では、早くも18世紀から、天然ムスクに代わる合成ムスクの開発に向けての研究が始まりました。

合成ムスクにはいくつかの種類がありますが、その中でも特に歴史が古く、20世紀に広く使用された「ニトロムスク」についての化学史エッセイが、 European Journal of Organic Chemistry に掲載されました。

European Journal of Organic Chemistry

ニトロムスクは、一般には1888年にドイツの化学者 Albert Baur が開発したのが最初とされています。しかし今回のエッセイによると、ムスク香を有しニトロ基を含む化合物は、18世紀半ばに Andreas Sigismund Marggraf が初めて合成に成功し、その後も何人もの化学者が報告しています。しかし、それらの化合物は、どういう訳か天然ムスクの代用として香料に使用された形跡がなく、また構造決定にも至りませんでした。

1881年、ドイツの化学者 Werner Kelbe は、自ら合成したニトロムスクの構造決定に初めて成功しましたが、彼はそれを論文で発表したのみでした。Kelbe の教え子だった Baur は、師の研究を引き継いで、後に「ムスクバウア」と呼ばれることになる類縁化合物を開発する一方、Kelbe とは異なり商才を発揮しました。彼は論文の発表前に特許を取得するとともに、素早く香料メーカーと契約を交わし、ムスクバウアの商業化を実現したのです。その結果、Baur はニトロムスク開発の先駆者として、化学史に名前を残すことになりました。

ムスクバウアに続いて、ムスクキシロール、ムスクケトンなどのニトロムスクが開発され、天然ムスクの安価な代用として20世紀に隆盛を迎えます。しかし、1980年ごろから有害性や環境中の残留性が相次いで報告されたことから、各国でニトロムスクの使用禁止の動きが広まりました。現在は、商用化されたニトロムスク6種のうち、安全とされるムスクケトンだけが使用を認められています。

こういったニトロムスクの歴史を、豊富なサイドストーリーとともに語るこのエッセイは、化学史および香料化学に関心を持つ読者には、興味深い読み物となるのではないでしょうか。

カテゴリー: 論文 | コメントは受け付けていません。

2016年11月のワイリー理工書ベストセラーはこちら!

日本で11月に最もよく売れたWiley(Wiley-Blackwell, Wiley-VCHを含む)の理工書トップ5をご紹介します。タイトルまたは表紙画像をクリックすると、目次やサンプル章(Read an Excerpt)など、詳しい内容をご覧いただけます。

Polymer Analysis1位 Polymer Analysis
 Barbara H. Stuart
 ISBN: 978-0-471-81363-7
 Paperback / 304 pages / January 2002

高分子の多様な分析法を習得するための好評教科書です。主要な分析テクニックを分かりやすく提示するとともに、それらを高分子研究に応用する方法を解説します。

Linear Models, 2nd Edition2位 Linear Models, 2nd Edition
 Shayle R. Searle, Marvin H. J. Gruber
 ISBN: 978-1-118-95283-2
 Hardcover / 696 pages / October 2016

データ解析に有用な統計的線形モデルを学ぶための、上級学部生~院生向け教科書。約20年ぶりの改訂を受けたこの第2版では、デザインを一新して読みやすさの改善を図るとともに、事例や練習問題などを充実させ、独習のための効果を高めています。

Automotive Handbook, 9th Edition3位 Automotive Handbook, 9th Edition
 Robert Bosch GmbH
 ISBN: 978-1-119-03294-6
 Hardcover / 1544 pages / January 2015

多くの国で翻訳出版され広く利用されている、自動車工学の定番参考書。「ボッシュ自動車ハンドブック」として刊行されている日本語版の最新第3版は、本書の1つ前の版にあたる第8版(2011年)を邦訳したものです。この第9版は旧版を4年ぶりに改訂したもので、技術の新展開を踏まえた最新情報を収録しています。

Biochemistry and Molecular Biology of Plants4位 Biochemistry and Molecular Biology of Plants, 2nd Edition
 Edited by Bob B. Buchanan, Wilhelm Gruissem, Russell L. Jones
 ISBN: 978-0-470-71421-8
 Paperback / 1280 pages / August 2015

カリフォルニア大学バークレー校のBob B. Buchanan名誉教授らによる、植物の生化学・分子生物学を総合的に扱う定評ある教科書の改訂第2版です、2000年に出版された初版は大成功を収め、その充実した内容と分かりやすさで名著としての評価を確立しています。今回の第2版は、その後の研究の新展開を盛り込むため大幅に改訂され、半分以上の章が書き直されました。またシグナル伝達と病原体応答に関する章が新たに追加されました。

Low-profile Natural and Metamaterial Antennas5位 Low-profile Natural and Metamaterial Antennas: Analysis Methods and Applications
 Hisamatsu Nakano
 ISBN: 978-1-118-85979-7
 Hardcover / 304 pages / September 2016

アンテナ工学の世界的研究者として知られる中野 久松・法政大学名誉教授の新著となる本書は、さまざまな種類の新規な素子による低姿勢アンテナを取り上げています。特に、従来の材料では実現できないユニークな特性をもつメタマテリアルのアンテナ技術への応用については、重点的に論じられます。


ご注文は最寄りの書店・ネット書店で承ります。

カテゴリー: 書籍 | タグ: | コメントは受け付けていません。

<記事紹介> h-Indexがこんなに高い自分の論文をデスクリジェクトするなんてありえない? Angewandte Chemie編集部が受けた抗議

Peter Goelitz portraitAngewandte Chemie International Edition の2017年新年号に、同誌の編集長Peter Gölitz氏が巻頭言(Editorial)を寄稿、この記事が昨日オンラインで先行公開されました。その中で同氏は、研究者にのしかかる「高インパクトファクターのジャーナルで論文を出したい」というプレッシャーが、若手だけでなく既に名声を確立した研究者までも堕落に導いていると警告し、それに関するエピソードを紹介しています。

最近Angewandte Chemie誌に、ある研究者からドラッグデリバリーの特定の側面に関する総説論文を執筆したいというオファーがありました。編集部では、その主題は人気があり引用されやすいが、同誌で扱うには特殊すぎると判断し、読者層がよりフィットする別の姉妹誌への投稿をすすめました。著者からの回答は、「自分たちは研究資金や奨学金を得るために高インパクトのジャーナルで出版しなくてはならないので、せっかくのご提案だがお断りする」というものでした。

もう一つの例は、ある化学者からの投稿論文を、主題が特殊すぎ、しかも長すぎるという理由からデスクリジェクト(査読に回さず、エディターの判断だけで行うリジェクト)にしたときのことです。その判断に対して、著者のグループから怒りの抗議メールが届きました。その中で著者らは、自分たちのh-index (被引用回数に基づく研究者の評価指標)がいかに高いか、またこれまでの200報以上の論文がどれだけ多くの被引用を獲得してきたかを訴えていました。それだけの実績を持つ自分たちの論文を査読にさえ回さないのはおかしいと言いたかったようですが、Gölitz氏は、自分たち編集部はすべての投稿論文を偏見なく評価しており、投稿された論文そのもの以外の要素を考慮する余地はないとしています。

Credit - Shutter_M/Shutterstock

Credit – Shutter_M/Shutterstock

この記事によると、Angewandte Chemie誌への投稿は毎年増加の一途をたどり、2016年に投稿されたCommunication(短報)は12,000報に迫っています。(記事中のグラフ Figure 3 は、特にアジアからの投稿の急増を示しています。) そのうちアクセプトされて出版に至るのは約2,570報にすぎず、残りの約9,500報は何らかの形でリジェクトされています。その中でも、前述のデスクリジェクトの対象になったのが、およそ半数に相当する4,800報でした。そのような論文の多くは、研究としてはちゃんとしているが、同誌に載せるには主題が特殊すぎるというものですが、中には「いったい何を思ってこれを投稿してきたんだ?」と頭を抱えてしまうようなレベルの低い投稿もあるそうです。

そのほかこの記事は、2017年9月11日にベルリンで開催されるAngewandte Symposiumの予定を伝えています。このシンポジウムは、2017年にドイツ化学会(GDCh)が創立150周年を迎えるのを記念して開催されるものです。講師には、Ben Feringa, Bob Grubbs, W. E. Moerner, Jack Szostakという4人のノーベル賞受賞者のほか、世界レベルの著名な化学者が招かれ、日本からは伊丹健一郎・名古屋大学教授が選ばれています。

カテゴリー: ジャーナル, 一般 | コメントは受け付けていません。

本日19時から2016年ノーベル化学賞受賞記念講演 “Nobel Lecture” / 併せて読んでおきたい論文をWileyが無料公開中

今週は、スウェーデンのストックホルムで2016年ノーベル各賞の授賞式と関連式典が行われる「ノーベル・ウィーク」です。昨日(7日)は、医学生理学賞を受賞した大隅 良典・東京工業大学栄誉教授が、一般の聴衆に向けて研究業績の意義を語る記念講演 Nobel Lecture を行いました。講演の模様をTVニュースや、中にはネットのライブ中継で視聴した人もいらっしゃるでしょう。

それに続いて今日8日は、分子マシンの研究における功績により化学賞を共同受賞した Jean-Pierre Sauvage, Sir J. Fraser Stoddart, Bernard L. Feringa の三氏による Nobel Lecture が、日本時間19時から始まります。こちらもYouTubeでライブ配信されます。

The Dynamic Chemistry of Molecular Borromean Rings and Solomon Knots

Stoddart教授の論文 The Dynamic Chemistry of Molecular Borromean Rings and Solomon Knots (2010)のグラフィカル・アブストラクト

さらにこの機会に、今回の受賞業績をより深く知りたい方は、Wileyが選んだ三氏の代表的な論文を読んでみてはいかがでしょうか。受賞者の三氏はいずれも、Angewandte Chemie International EditionをはじめとするWileyの化学ジャーナルで、多数の論文を発表してきました。三氏の受賞を記念して、Wileyはそれらの中から特にインパクトの高い論文を選んで、化学ニュースサイト Chemistry Views で2016年12月31日まで無料公開しています。

カテゴリー: 論文 | タグ: | コメントは受け付けていません。

自分の論文の読者と引用を増やすのをお手伝いする無料ウェブサービスKudos

多くの時間と労力を注ぎ込んでようやく出版された論文を、少しでも多くの人に読んでほしい、また引用してもらいたいと思うのは、研究者に共通する気持ちでしょう。そのために、例えば研究室のホームページで内容を紹介したり、TwitterなどのSNSを使って情報発信するなどの手段を採る研究者も増えています。

そうした中で、自分の論文についての情報を発信し、またその効果を知るための手助けをしてくれる無料のウェブサービスが、今回ご紹介する Kudos (キュードスまたはクードス)です。Wileyをはじめ、広範な出版社のジャーナルに掲載された論文で利用できます。

kudos

アカウントの登録: Kudosを利用するための最初のステップは、自分のアカウントを作ることです(無料)。トップページ右上の’Join’リンクから名前・メールアドレスなど必要項目を登録すると、確認メールが自動配信されます。確認メール中のリンクをクリックするとアカウントが有効になりますので、メールアドレスとパスワードでサインインして下さい。
kudos1

論文情報の共有: サインインすると、Kudos上で著者名・タイトルワード・DOI(電子文献のID)をキーにして自分の論文を探せます。論文情報に付いているCLAIMボタンをクリックすると、自分の論文として登録され、その論文情報を掲載したPublication Profile Pageにアクセスできるようになります。このページでは、広範な読者に論文の主題や重要性が伝わるように、平易な言葉で説明を書き込んだり、関連情報へのリンクを追加することができます。またこのページは、メールやTwitter, Facebookなどで簡単にリンクを共有できます。独力でウェブページを編集したり、Facebookに記事を書き込む手間が省けます。

論文のインパクト評価: さらに、登録した自分の論文は、Kudos上のAuthor Dashboardに一覧表示されます。そこでは、各論文のPublication Profile Pageへのリンクのシェア回数やページの閲覧回数に加えて、出版社サイトでのダウンロード回数(本文が何回読まれたか)、論文のネット上でのインパクトを示すAltmetricスコア、Web of Scienceでカウントされた被引用回数などの数値指標を一目で見ることができます。出版社サイトでのダウンロード回数が分かるのは、WileyをはじめKudosにデータを提供している出版社のジャーナルの掲載論文に限られますが、Kudos以外では見ることのできない貴重なデータです。「自分の論文が○回読まれた」と分かると励みになるのではないでしょうか。
kudos2

Kudosがどんなものか、そこで何ができるかイメージできたでしょうか。研究者なら誰でも無料で利用できるサービスですので、まずはアカウントを作って、お気軽に試してみて下さい。

カテゴリー: 一般 | タグ: | コメントは受け付けていません。