自分の論文の読者と引用を増やすのをお手伝いする無料ウェブサービスKudos

多くの時間と労力を注ぎ込んでようやく出版された論文を、少しでも多くの人に読んでほしい、また引用してもらいたいと思うのは、研究者に共通する気持ちでしょう。そのために、例えば研究室のホームページで内容を紹介したり、TwitterなどのSNSを使って情報発信するなどの手段を採る研究者も増えています。

そうした中で、自分の論文についての情報を発信し、またその効果を知るための手助けをしてくれる無料のウェブサービスが、今回ご紹介する Kudos (キュードスまたはクードス)です。Wileyをはじめ、広範な出版社のジャーナルに掲載された論文で利用できます。

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アカウントの登録: Kudosを利用するための最初のステップは、自分のアカウントを作ることです(無料)。トップページ右上の’Join’リンクから名前・メールアドレスなど必要項目を登録すると、確認メールが自動配信されます。確認メール中のリンクをクリックするとアカウントが有効になりますので、メールアドレスとパスワードでサインインして下さい。
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論文情報の共有: サインインすると、Kudos上で著者名・タイトルワード・DOI(電子文献のID)をキーにして自分の論文を探せます。論文情報に付いているCLAIMボタンをクリックすると、自分の論文として登録され、その論文情報を掲載したPublication Profile Pageにアクセスできるようになります。このページでは、広範な読者に論文の主題や重要性が伝わるように、平易な言葉で説明を書き込んだり、関連情報へのリンクを追加することができます。またこのページは、メールやTwitter, Facebookなどで簡単にリンクを共有できます。独力でウェブページを編集したり、Facebookに記事を書き込む手間が省けます。

論文のインパクト評価: さらに、登録した自分の論文は、Kudos上のAuthor Dashboardに一覧表示されます。そこでは、各論文のPublication Profile Pageへのリンクのシェア回数やページの閲覧回数に加えて、出版社サイトでのダウンロード回数(本文が何回読まれたか)、論文のネット上でのインパクトを示すAltmetricスコア、Web of Scienceでカウントされた被引用回数などの数値指標を一目で見ることができます。出版社サイトでのダウンロード回数が分かるのは、WileyをはじめKudosにデータを提供している出版社のジャーナルの掲載論文に限られますが、Kudos以外では見ることのできない貴重なデータです。「自分の論文が○回読まれた」と分かると励みになるのではないでしょうか。
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Kudosがどんなものか、そこで何ができるかイメージできたでしょうか。研究者なら誰でも無料で利用できるサービスですので、まずはアカウントを作って、お気軽に試してみて下さい。

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ChemMedChem誌の創刊10周年記念クイズ第2弾 / この化合物、分かりますか?

ChemMedChem 10th anniversary今年2016年に創刊から十周年を迎えたWiley-VCHの医薬品化学専門誌 ChemMedChem は、創刊十周年記念ページを開設し、医薬品化学・創薬プロセスに関するすぐれたエッセイと総説を2016年12月末まで無料公開中です。

さらに、先月既報の通り、同誌は化学ニュースサイト Chemistry Views 上で、医薬品化学にちなんだクイズキャンペーンを実施中です。クイズは11月・12月にそれぞれ1問ずつ公開され、ヒントから化合物名を当てていただきます。各月の正解者の中から抽選で2名様に、Molecules that Changed the World (by K. C. Nicolaou and Tasyn Montagnon)をプレゼントします。

Molecules That Changed the World2回目となる12月の問題は、下のリンク先でご覧いただけます。ヒントが分かりやすいので、正解を見つけるのにあまり苦労しないでしょう。答が分かった方は、記載のご応募方法に従い、2016年12月15日(木)までに回答をメールでお送り下さい。

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<論文紹介> スマホに地震計の機能を持たせるAndroidアプリ MyShake / 6か月間で20万ダウンロード、世界各国の地震波データを観測システムに送信

米カリフォルニア大学のバークレー地震研究所 (UC Berkeley Seismological Laboratory) は、スマートフォンの加速度センサーで検知した地震波のデータを観測システムに送信するAndroidアプリ MyShake を開発しました。この MyShake は、2016年2月にGoogle Playストアで公開された後 6か月間で20万回近くダウンロードされ、その間に日本を含む世界各地で発生した237回の地震を観測しています。その詳細がAmerican Geophysical Union(AGU, アメリカ地球物理学連合)の公式誌 Geophysical Research Letters で報告されました。

Geophysical Research Letters

MyShakeをインストールしたスマートフォンでは、加速度センサーが揺れを検知すると、MyShakeが揺れの波形を分析して、人の持ち歩きなどによる振動と地震波とを区別します。地震波と確認されれば、そのデータは位置情報とともに地震観測システムに送信されます。平均的な日であれば、8千~1万台のスマートフォンからデータが送られるそうです。

MyShakeは、地震が稀な地域など、地震計の設置が十分でない場所で発生した地震のデータ収集に、特に力を発揮すると期待されます。近年、「科学への市民参加」をめざすさまざまな活動が注目されていますが、MyShakeもその一翼を担っているといえそうです。MyShakeは
Google Playストアからダウンロードして無料で利用できますので、興味のある方はぜひお試し下さい。(Android版のみ)

現時点でMyShakeに地震警報の機能はありませんが、地震発生時最初に到達するP波を検知して警報を発することは、原理的に可能です。開発者らは、アプリの価値を高めてさらに普及を図るため、地震警報機能の追加に向けて準備を進めているとのことです。

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Wileyジャーナル500誌以上で論文投稿時にORCID iDの記入を必須化

Wileyは11月28日、500誌以上のジャーナルへの論文投稿時に、研究者の識別のために世界的に広く利用されるIDナンバー ORCID iD の記入を必須化することを発表しました。今冬より開始の予定です。

対象となるジャーナルでは、Submitting Author(投稿著者)は論文投稿・査読システム ScholarOne Manuscripts 上で、著者情報とともに ORCID iD を記入することが必須となります。投稿著者以外の共著者については、ORCID iD の記入は従来通り任意のままです。

ORCID iDは、学術コミュニティの関係者20機関によって創立された非営利団体 ORCID Inc. によって管理・運営されており、Wileyもその創立メンバーのひとつです。ORCID iD の利用によって、同姓同名の著者の存在や所属機関の異動、結婚による改姓などによる混乱を避けて、研究者一人ひとりの業績を正確に把握することが可能になります。ORCID iD の取得方法や利用法についての詳細は、下の関連記事をご参照下さい。(記事中では「ORCID」と表記)

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2016年10月のワイリー理工書ベストセラーはこちら!

日本で10月に最もよく売れたWiley(Wiley-Blackwell, Wiley-VCHを含む)の理工書トップ5をご紹介します。タイトルまたは表紙画像をクリックすると、目次やサンプル章(Read an Excerpt)など、詳しい内容をご覧いただけます。

Lewis Base Catalysis in Organic Synthesis, 3 Volume Set1位 Lewis Base Catalysis in Organic Synthesis, 3 Volume Set
 Edited by Edwin Vedejs, Scott E. Denmark
 ISBN: 978-3-527-33618-0
 Hardcover / 1488 pages (in 3 volumes) / September 2016

全3巻構成の本書は、近年多くの化学者が関心を寄せるようになり、ホットな研究領域として急速に拡大している「ルイス塩基触媒」に関する最新知識をまとめた初めての包括的な参考書です。

  • 電子対ドナーを用いた化学反応の促進に関する研究と、ルイスの理論に基づく構造・結合・反応性の概念の発展を歴史的に振り返る
  • ルイス塩基触媒の基礎をなす原理を提示するとともに、その視点から多様な反応タイプについて解説
  • 各国の専門家によって寄稿された高水準の各章を、当分野をリードする化学者であるEdwin Vedejs, Scott E. Denmark両教授が編者としてまとめる
  • 反応タイプ、熱力学的・速度論的原理、化学反応機構をはじめ関連する主題をもれなく網羅

Extremes and Recurrence in Dynamical Systems2位 Extremes and Recurrence in Dynamical Systems
 Valerio Lucarini, et al.
 ISBN: 978-1-118-63219-2
 Hardcover / 312 pages / April 2016

統計学上重要な極値理論と、自然科学・社会科学における動的システム解析へのその応用を論じます。

Statistical Shape Analysis3位 Statistical Shape Analysis: With Applications in R, 2nd Edition
 Ian L. Dryden, Kanti V. Mardia
 ISBN: 978-0-470-69962-1
 Hardcover / 496 pages / July 2016

同じ著者による1998年の初版に、近年の新展開を取り入れた待望の改訂版。形状解析に統計的手法を適用するさまざまなテクニックを紹介し、それぞれの長短所を論じます。

Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Reagents for Organocatalysis4位 Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Reagents for Organocatalysis
 Edited by Tomislav Rovis
 ISBN: 978-1-119-06100-7
 Hardcover / 816 pages / August 2016

Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis の電子版 (e-EROS) に収録された約5千種の有機合成試薬の中から、有機分子触媒反応に用いられる主要な試薬126種に関する記事を抜粋したのが本書です。環境への負荷を減らすと期待される有機分子触媒反応のための試薬に関する情報が得られます。

Oxidative Cross-Coupling Reactions5位 Oxidative Cross-Coupling Reactions
 Aiwen Lei, Wei Shi, Chao Liu, Wei Liu, Hua Zhang, Chuan He
 ISBN: 978-3-527-33688-3
 Hardcover / 240 pages / September 2016

近年研究が活発化している酸化的クロスカップリング反応に関する初めての包括的な参考書です。酸化的カップリングを用いたC-C/C-X結合生成反応およびC-H結合活性化反応における最近の新展開をまとめています。


ご注文は最寄りの書店・ネット書店で承ります。

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ChemMedChem誌が創刊10周年記念クイズ / この化合物、分かりますか?

ChemMedChem 10th anniversaryWiley-VCHの医薬品化学専門誌 ChemMedChem は今年2016年、創刊から十周年を迎えました。(前身はイタリア化学会の Il Farmaco 誌) 同誌の創刊十周年記念ページでは、医薬品化学・創薬プロセスに関するすぐれたエッセイと総説を2016年12月末まで無料公開中です。

さらに、この記念イヤーの終わりにあたり、同誌は化学ニュースサイト Chemistry Views 上で、医薬品化学にちなんだクイズキャンペーンを開始しました。クイズは11月・12月にそれぞれ1問ずつ公開され、ヒントから化合物名を当てていただきます。各月の正解者の中から抽選で2名様に、Molecules that Changed the World (by K. C. Nicolaou and Tasyn Montagnon)をプレゼントします。

Molecules That Changed the World11月の問題は、下のリンク先でご覧いただけます。有名な化合物なので、一目でピンとくる人が多いのでは? 答が分かった方は、記載のご応募方法に従い、2016年12月1日(木)までに回答をメールでお送り下さい。

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<記事紹介> 会議論文をジャーナル論文に書き直すのは二重投稿? 倫理違反にならないためのポイントは

Credit - Pepsco Studio/Shutterstock

Credit – Pepsco Studio/Shutterstock

同じ内容の論文を別のジャーナルに同時に、または期間を置いて投稿・掲載する行為は、二重投稿(二重出版)として出版倫理違反にあたることは、ご存知の方が多いと思います。それに対して、学会で発表して会議録に掲載された会議論文 (conference paper) の内容を、後日ジャーナルに投稿するのはどうでしょうか。これも、一定の要件を満たさない場合は二重投稿と判断され、出版後に発覚すると論文の撤回や、不正行為として所属機関からの処分につながるリスクがあるので要注意です。それでは、二重投稿にならないための要件とはどういうものでしょうか?

この問題を、ソフトウェア工学のジャーナル Software Testing, Verification and Reliability (STVR) の共同編集長 Jeff Offutt教授(米ジョージ・メイソン大学)が、同誌のEditorialで2回にわたって取り上げています。厳密にはジャーナルによって方針が異なる可能性があるため、投稿先ジャーナルの投稿規定を確認する必要がありますが、一般的な考え方を理解するのに役立つ記事としてご紹介します。

 記事を読む  
Software Testing, Verification and Reliability

  1. Offutt, J. (2016) Editorial: STVR policy on extending conference papers to journal submissions. Softw. Test. Verif. Reliab., 26: 274–275. doi: 10.1002/stvr.1606. icon_free(無料公開)
  2. Offutt, J. (2016) Editorial: How to extend a conference paper to a journal paper. Softw. Test. Verif. Reliab., 26: 496–497. doi: 10.1002/stvr.1623. icon_free(無料公開)

1番目の記事によると、会議論文をまったく同じ内容のままでジャーナルに投稿するのは不可で、新規な内容を追加し拡張する必要があります。その際に一般的に言われるのが『30%ルール』で、エディターや査読者の目から見て、元の論文に対して少なくとも30%の新規な内容が加わっているというのが、二重投稿にならないための判断基準です。

30%ルールを満たす場合でも、ジャーナルに投稿する論文では

  • 元の会議論文をレファレンスに含める
  • (通常はIntroductionで)会議論文の内容を論じた上で、今回の論文の新規な点を要約する

ことが要件になります。

Offutt教授によると、元の会議論文の引用を漏らしただけで即リジェクトとはなりませんが、通常はMajor Revisionと判定されます。元の論文が引用されていないと、今回の論文に十分な新規性があるかどうか査読者が判断できないためです。また会議論文の情報をレファレンスではなくカバーレターに載せるのは、査読者への伝達漏れを招きかねない上に読者に情報が伝わらないため、Offutt教授のSTVR誌では認めないとしています。

2番目の記事でOffutt教授は、新しい論文には新規な理論や着想、実験結果を追加し内容を拡張するだけでなく、読者の混乱を避けるために、新しいタイトルを付けてアブストラクトも書き直すよう推奨しています。さらに、査読者に新規な内容が乏しいとの印象を与えないようIntroductionも最初から書き直すこと、関連する先行研究の引用を増やすこと、文章を徹底的に見直してリライトすることも勧めています。

原記事ではより詳しく解説されていますので、上のリンク先からぜひお読み下さい。

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名古屋大学・山下 誠教授のAngewandte Author Profileを公開(10報目)

Angewandte Chemie International Edition (ACIE)では、“Angewandte Author Profiles”と題して、同誌で過去10年間に発表した論文が累計で10報・25報・50報・100報に達した著者のプロフィールとQ&A, “My 5 top papers”を紹介しています。

この度、同誌での10年間の発表論文が10報となった名古屋大学大学院工学研究科・山下 誠 教授のAuthor Profileが公開されました。ぜひご覧下さい。

Angewandte Chemie International Edition

  •  Author Profile   Makoto Yamashita. (2016), Makoto Yamashita. Angew. Chem. Int. Ed.. doi:10.1002/anie.201610865 (本文を読むにはアクセス権が必要です。以下同じ)
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2016年ノーベル化学賞の受賞業績「分子マシン」研究の発展史をDavid A. Leigh教授が解説 (Angew. Chem. Int. Ed.)

ご存知の通り、2016年ノーベル化学賞は「分子マシンの設計と合成」への貢献により、Jean-Pierre Sauvage, J Fraser Stoddart, Ben L. Feringaの三氏の受賞が決まりました。Angewandte Chemie International Editionの最新号 (Volume 55, Issue 47, November 14, 2016) に掲載された記事 (Highlight) では、英マンチェスター大学の David A. Leigh教授が、受賞業績となった分子マシン研究の発展の歴史を最初期に遡って解説しています。Leigh教授は受賞者のひとり Stoddart教授の教え子(シェフィールド大)で、自らも分子マシン研究で重要な役割を果たしてきた人物とあって、この記事も簡潔ながら研究史の要所を押さえ、洞察に富んだ内容となっています。

Angewandte Chemie International Edition

 関連リンク 

  • Wiley Nobel Laureates 2016 … Wileyの2016年ノーベル賞特集ページ。自然科学3賞の受賞者がWileyで出版した主要な論文・書籍へのリンクをまとめています。
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チューリッヒ工科大 Helma Wennemers教授の講演会 (TCR Lecture) を2017年3月の日本化学会春季年会で開催 / ペプチド触媒による不斉合成反応の研究に業績

Helma Wennemers教授

Helma Wennemers教授

日本化学会第97春季年会は、2017年3月16日(木)から慶應義塾大学・日吉キャンパスで開催が予定されます。その会期中に、毎年恒例の講演会 The Chemical Record Lecture (TCR Lecture) が行われます。今回の講師は、スイス・チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)のHelma Wennemers教授に決まりました。

TCR Lectureは、2002年から続く伝統ある学術講演会です。日本化学会がWiley-VCHと提携して発行する英文誌The Chemical Recordの提供により、毎年の春季年会に合わせて世界的に高名な化学者を講師に迎えて開催されます。

今回の講師となるWennemers教授はペプチド化学が専門で、特にペプチドを触媒として用いる不斉合成反応の研究を精力的に行っています。今回の講演でも、ペプチドを中心とした不斉有機分子触媒に関する研究の新展開の紹介が期待されます。また同教授は、The Chemical Record誌の国際編集顧問のひとりでもあります。

tcr_cover講演の開催は、3月18日(土)に予定されています。時間・場所等の詳細が決まり次第当ブログでお知らせしますので、続報をお待ち下さい!

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