<論文紹介>単体ホウ素粉末と太陽光によるCO2還元反応 (ACIE Hot Paper)

Credit - ESB Professional/Shutterstock

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太陽光と光触媒を用いたCO2還元は、温室効果ガスであるCO2を燃料や化学品原料といった資源として有効活用するための重要な反応であることから、多くの化学者が研究に取り組んでいます。しかしこの反応を効率的に行う手法は未確立で、すぐれた触媒システムの開発が長年の課題となっています。

物質・材料研究機構 (NIMS) の葉 金花 (ヨウ キンカ)MANA主任研究者 (光触媒材料グループ グループリーダー)を中心とする日中共同研究グループは、単体ホウ素粉末が太陽光照射によってCO2還元を効率的に促進することを明らかにし、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) で報告しました。ホウ素粉末は太陽光を吸収して高温に熱せられ、水と反応して水素と酸化ホウ素を生成し、それらがCO2の還元を高効率で進めます。この一連の反応に必要なのはホウ素粉末と水・太陽光照射だけで、試薬や助触媒は不要です。CO2資源化のための有力な戦略として、今後の発展が期待されます。

この成果を報告した論文は、ACIEの注目論文Hot Paperに選ばれるとともに、化学ニュースサイトChemistry Viewsで内容が紹介されました。

Angewandte Chemie International Edition

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2017年3月のワイリー理工書ベストセラーはこちら!

日本で3月に最もよく売れたWiley(Wiley-Blackwell, Wiley-VCHを含む)の理工書トップ5をご紹介します。タイトルまたは表紙画像をクリックすると、目次やサンプル章(Read an Excerpt)など、詳しい内容をご覧いただけます。

Greene's Protective Groups in Organic Synthesis1位 Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, 5th Edition
 Peter G. M. Wuts
 ISBN: 978-1-118-05748-3
 Hardcover / 1448 pages / October 2014

有機合成における保護基の導入と脱保護に関するテクニックを網羅し、世界中の化学研究室で愛用される参考書「グリーンの保護基」の待望の改訂版。実行したい合成反応に必要な保護・脱保護を行うための反応条件を、データベース検索よりもはるかに素早く見つけ出せるのに加え、豊富なレファレンスを収録し、必要に応じて原論文を参照できます。最近の研究の展開を反映して各章の記述をアップデートしたほか、2800件以上の新しいレファレンスを追加しています。

Theory of Probability - A critical introductory treatment2位 Theory of Probability: A critical introductory treatment
 Bruno de Finetti
 ISBN: 978-1-119-28637-0
 Hardcover / 600 pages / February 2017

主観的確率の理論で知られるオーストリアの統計学者ブルーノ・デ・フィネッティ(1906-1985)が、自身の理論を体系的に記述した古典的名著です。1975年に初めて出版された2巻本の英訳版を、1巻本として再版しました。

Understanding Delta-Sigma Data Converters, Second Edition3位 Understanding Delta-Sigma Data Converters, 2nd Edition
 Shanthi Pavan, Richard Schreier, Gabor C. Temes
 ISBN: 978-1-119-25827-8
 Hardcover / 584 pages / January 2017

電子回路設計にとって重要な、デルタシグマ型データコンバータの技術を総合的に解説します。2004年に刊行された初版を、最近の新展開に基づいて改訂しました。

Counterexamples on Uniform Convergence4位 Counterexamples on Uniform Convergence: Sequences, Series, Functions, and Integrals
 Andrei Bourchtein, Ludmila Bourchtein
 ISBN: 978-1-119-30338-1
 Hardcover / 320 pages / February 2017

誤った数学的命題に対して反例を示すことを通じて、解析学における uniform convergence (一様収束)の概念の正しい理解をめざす学生向け入門書。

Basic Pharmacokinetics and Pharmacodynamics5位 Basic Pharmacokinetics and Pharmacodynamics: An Integrated Textbook and Computer Simulations, 2nd Edition
 Sara E. Rosenbaum (Editor)
 ISBN: 978-1-119-14315-4
 Paperback / 576 pages / December 2016

薬物動態学・薬力学の最新知識を学べるよう書かれたこの教科書は、専用サイトからダウンロードできるシミュレーションを用いて、PK/PDモデル解析を実際に試すことを可能にしています。2011年の初版に最近の展開を反映させた改訂版です。


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東北大学・岩本 武明教授のAngewandte Author Profileを公開(10報目)

Angewandte Chemie International Edition (ACIE)では、“Angewandte Author Profiles”と題して、同誌で2000年以降に発表した論文が累計で10報・25報・50報・100報に達した著者のプロフィールとQ&A, “My 5 top papers”を紹介しています。

この度、同誌で過去10年間の発表論文が10報となった東北大学大学院理学研究科化学専攻・岩本 武明教授のAuthor Profileが公開されました。ぜひご覧下さい。

Angewandte Chemie International Edition

  •  Author Profile   Takeaki Iwamoto. (2017), Authors Profile. Angew. Chem. Int. Ed.. doi:10.1002/anie.201702167 (本文を読むにはアクセス権が必要です。以下同じ)
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東京大学理学部「グローバルサイエンスコース」(GSC) に参加した留学生にインタビュー / 化学科で学び生活する体験から得たものは?

Challenge Yourself out of Your Comfort Zone東京大学理学部は、海外の大学学部課程に2年以上在籍した留学生を学部3年生に編入させるプログラム「グローバルサイエンスコース(GSC)」を2014年より開始し、化学科で学生の受け入れを始めました。すべての講義を英語で行うこのプログラムは、出身・文化の異なる学生同士が英語環境で交流できるようになることをめざしています。

Wiley-VCHの化学ニュースサイトChemistry Viewsはこのほど、GSCプログラムに参加して2年目となる中国人留学生Youyuan Zhangさんと、同プログラムを終えたJunhao Wangさん、Wenyu Liuさんのお二人、そしてインストラクターとしてこのプログラムを支援する外国人教員Laurean Ilies・Erik Lötstedtの両氏にインタビューを行い、同サイトで公開しました。留学生たちにとって、東大での化学研究や日常生活はどんなもので、彼らはそれを通じて何を学んだのでしょうか? 楽しかったこと、苦労したことは何だったでしょうか? 下のリンク先から記事をお読み下さい。

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2017年2月のワイリー理工書ベストセラーはこちら!

日本で2月に最もよく売れたWiley(Wiley-Blackwell, Wiley-VCHを含む)の理工書トップ5をご紹介します。タイトルまたは表紙画像をクリックすると、目次やサンプル章(Read an Excerpt)など、詳しい内容をご覧いただけます。

Statistics: An Introduction Using R, 2nd Edition1位 Statistics: An Introduction Using R, 2nd Edition
 Michael J. Crawley
 ISBN: 978-1-118-94109-6
 Paperback / 360 pages / September 2014

フリーソフトRを用いた統計分析に関する入門的教科書です。初歩的なt検定・カイ二乗検定から回帰・分散分析、より高度な一般化線形モデルまで幅広く取り上げ、多数の実例とともに初学者にも分かりやすく解説します。

Physics and Technology of Crystalline Oxide Semiconductor CAAC-IGZO: Fundamentals2位 Physics and Technology of Crystalline Oxide Semiconductor CAAC-IGZO: Fundamentals
 Noboru Kimizuka, Shunpei Yamazaki
 ISBN: 978-1-119-24740-1
 Hardcover / 344 pages / August 2016

高精細で低消費電力の液晶ディスプレイなどへの応用で注目される結晶性酸化物半導体 CAAC-IGZO の構造と物性、製造技術を解説します。本書の共編者を務めるのは、結晶IGZOの合成に世界で初めて成功した(1985年)君塚 昇博士と、IGZOのCAAC構造の発見者である山﨑 舜平博士(株式会社半導体エネルギー研究所代表取締役)という、当分野の2人のパイオニアです。

Automotive Handbook, 9th Edition3位 Automotive Handbook, 9th Edition
 Robert Bosch GmbH
 ISBN: 978-1-119-03294-6
 Hardcover / 1544 pages / January 2015

多くの国で翻訳出版され広く利用されている、自動車工学の定番参考書。「ボッシュ自動車ハンドブック」として刊行されている日本語版の最新第3版は、本書の1つ前の版にあたる第8版(2011年)を邦訳したものです。この第9版は旧版を4年ぶりに改訂したもので、技術の新展開を踏まえた最新情報を収録しています。

Introduction to Computational Chemistry, 3rd Edition4位 Introduction to Computational Chemistry, 3rd Edition
 Frank Jensen
 ISBN: 978-1-118-82599-0
 Paperback / 664 pages / December 2016

計算化学の好評教科書を約10年ぶりに改訂した第3版。近年の当分野の新展開を反映して、coarse grained force field methods, empirically modified DFT methodsといった主題を取り入れるなど記述の大幅な見直しを行った結果、全体の30%が新しい内容となっています。

The Nature of the Mechanical Bond5位 The Nature of the Mechanical Bond: From Molecules to Machines
 Carson J. Bruns, J. Fraser Stoddart
 ISBN: 978-1-119-04400-0
 Hardcover / 786 pages / November 2016

「分子マシンの設計と合成」への貢献により2016年ノーベル化学賞を共同受賞した米ノースウェスタン大学のジェイムズ・フレイザー・ストッダート教授 (James Fraser Stoddart)の新著です。分子マシンの実現のために、カテナン・ロタキサンのように、パーツが化学結合ではなく機械的結合によって結び付いた構造を持つ「インターロック分子」が注目されています。このインターロック分子の研究における第一人者であるストッダート教授が執筆した本書は、最新の研究成果に基づき、インターロック分子の合成法とその性質、医薬品・光学・電子材料など各方面への応用の可能性までを、豊富な図版とともに幅広く解説します。当分野の基本文献として広くおすすめします。


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紀伊國屋書店のKinoppy電子書籍サービスでWileyなど研究者向け洋書電子書籍の販売を開始 / ポイント25倍の期間限定キャンペーン中

紀伊國屋書店のKinoppy電子書籍サービスで2017年3月1日より、研究者向け洋書電子書籍の販売が始まりました。Wileyを含む欧米の大手学術専門出版社の既刊・新刊タイトル約17万点を購入できます。(プレスリリース)

紀伊國屋書店ウェブストアで購入したKinoppy電子書籍は、Kinoppyアプリを利用してパソコン・スマートフォン・タブレットで読むことができます。取り寄せに日数がかかりがちな専門書を必要な時にいつでもダウンロード購入でき、また分厚くて重い本を持ち歩かなくて済むのも大きな利点です。さらに、配信開始を記念して、2017年3月31日までの期間限定で電子洋書(学術書)全点ポイント25倍のキャンペーン中とのことで、ほしかった本をおトクに購入するにはいいチャンスになりそうです。

◇ 紀伊國屋書店ウェブストア 洋書電子書籍(学術書)のページ

画面上の検索メニューで「電子書籍(学術書)を探す」を選ぶと、特定の本の電子版を検索できます。(下図)
kinoppy

Wiley書籍の表示例

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<新刊紹介> 物理有機化学大事典 Encyclopedia of Physical Organic Chemistry (全6巻)

Encyclopedia of Physical Organic Chemistry, 6 Volume SetEncyclopedia of Physical Organic Chemistry, 6 Volume Set
 Zerong Wang (Editor), Uta Wille (Associate Editor), Eusebio Juaristi (Associate Editor)
 ISBN 978-1-118-47045-9
 Hardcover / 4464 pages (in 6 volumes) / February 2017
 刊行記念特価 US$1,800.00 (2017年4月30日まで有効) / それ以降の通常価格 US$2,000.00

物理有機化学 (physical organic chemistry) の代表的な手法とテクニックを解説する全6巻の大事典が刊行されました。本事典は、古典的・基礎的な研究領域である物理有機化学を、さまざまに多様化した現代化学の中に位置づけることをめざし、生化学的過程・材料科学・分子エレクトロニクスなどの領域と関連付けて解説します。

  • 有機反応と反応機構、分子設計と合成、ツールと実験テクニック、応用と今後の展開などを論じる
  • グリーンケミストリー、重合反応もカバー
  • 分子設計、機能性分子の合成のための多様な戦略をレビュー
  • 構造・反応機構の研究に役立つ計算的手法、ソフトウェアパッケージ、分光法なども詳述
  • 生物学・材料科学など他領域へのさまざまな応用も検討

2月に出たばかりの本書をご覧になりたい方は、今週始まる日本化学会春季年会で、附設展示会のWileyブースにお越し下さい。手に取って内容をお確かめいただける絶好の機会です。

※ 機関全体で利用できるオンライン版もお選びいただけます。最寄りの洋書店またはワイリー・ジャパンに価格見積りをご用命下さい。

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日本化学会恒例の講演会TCR Lecture、チューリッヒ工科大 Helma Wennemers教授を講師に迎え3月18日(土)開催

Helma Wennemers教授

Helma Wennemers教授

日本化学会第97春季年会の開催が、いよいよ来週(3月16日(木)から)に迫りました。会期中に行われる恒例の講演会 The Chemical Record Lecture (TCR Lecture) で今年の講師を務めるのは、スイス・チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)のHelma Wennemers教授です。Wennemers教授はペプチド化学が専門で、特にペプチドを触媒として用いる不斉合成反応の研究を精力的に行っています。今回の講演でも、ペプチドを中心とした不斉有機分子触媒に関する研究の新展開の紹介が期待されます。

日時 3月18日(土)11:00 – 11:50
会場 S9 会場(第4校舎独立館 3階 D312)
講師 Prof. Helma Wennemers (ETH Zürich)
参加方法 当日、会場にて受付/入場無料(年会登録者に限る)

tcr_coverTCR Lectureは、2002年から続く伝統ある学術講演会です。日本化学会がWiley-VCHと提携して発行する英文誌The Chemical Recordの提供により、毎年の春季年会に合わせて世界的に高名な化学者を講師に迎えて開催されます。今年の講師Wennemers教授は、The Chemical Record誌の国際編集顧問のひとりでもあります。

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東京工業大学・田中 健教授のAngewandte Author Profileを公開(25報目)

Angewandte Chemie International Edition (ACIE)では、“Angewandte Author Profiles”と題して、同誌で2000年以降に発表した論文が累計で10報・25報・50報・100報に達した著者のプロフィールとQ&A, “My 5 top papers”を紹介しています。

この度、同誌での2000年以降の発表論文が25報となった東京工業大学 物質理工学院 応用化学系・田中 健 教授のAuthor Profileが公開されました。好きな飲み物・好きな歌手といった軽いプロフィール情報に始まり、「化学者としてのキャリアの初期と比べて化学はどのように変わったか」「良質な論文を数多く出版するための秘訣は何か」という専門的な質問にまでお答えいただいています。ぜひご覧下さい。

Angewandte Chemie International Edition

  •  Author Profile   Ken Tanaka. (2017), Angew. Chem. Int. Ed.. doi:10.1002/anie.201701174 (本文を読むにはアクセス権が必要です。以下同じ)
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名古屋大学・伊丹健一郎教授らの論文がChemistry – An Asian Journalの月間最多アクセス論文に(2017年1月)

Wiley-VCHは2月19日、各国化学会と共同出版する各ジャーナルで2017年1月に最も多くのアクセスを集めた論文(Most Accessed Article)を発表しました。そのうちChemistry – An Asian Journalでは、名古屋大学大学院理学研究科の伊丹 健一郎教授らによる非対称シアニン色素の蛍光特性と構造の相関についての論文が最多アクセス論文となりました。

Chemistry – An Asian Journal

この論文の内容については、伊丹研究室のサイトで日本語での解説を読むことができます。

なお、この論文をはじめ、Wiley-VCH各ジャーナルの2017年1月の最多アクセス論文は、化学ニュースサイトChemistry Viewsで紹介されています。

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