棚上げされていた新薬の再利用を図る動き(ChemMedChem誌ニュース欄から)


ChemMedChem誌オンライン版のニュース欄は、さまざまな理由で棚上げ状態になっている新薬に、本来意図されていたのとは別の用途を見出すことで活用を図る動きについて伝えています。

 ⇒ ChemMedChem – April 24, 2012, A New Lease on Life

新薬の開発中または発売後に、安全性の問題や期待した効能が得られないといった理由で販売が見送り・中止になる例は珍しくありません。そのような医薬品の多くはそのまま忘れ去られてしまいますが、中には何年も経ってから、当初の開発時とは別の効能が認められ、再び脚光を浴びるものもあります。妊婦への副作用が大きな社会問題となり販売中止となった睡眠薬サリドマイドが後年がん治療などに用いられるようになったり、もともと抗がん剤として開発されたアジドチミジンが20年以上経って抗HIV薬として有効性を認められた例がそれにあたります。安全性や効能の試験がある程度済んでいれば、最初から新薬を開発するよりも期間を短縮でき、メーカーにとっては過去の投資を無駄にしなくてすむというメリットがあります。

上の記事によると、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のFrancis Collins所長は最近、製薬メーカーに対して“get those programs out of the deep freeze”(冷凍庫から取り出そう)として、棚上げされている新薬プロジェクトの再利用を呼びかけたそうです。その際の難点は、開発から長い年数を経たプロジェクトは既に特許期間を過ぎていて、元のメーカーにとって再利用のメリットがない場合があることです。Collins所長は、まだ詳細を明らかにしていませんが、知的財産権の再付与や市場独占権の認可といった形で元のメーカーにインセンティブを与えようとしているそうです。

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