<論文紹介> 食用油と硫黄から生まれる安価な水銀吸着ポリマー / 開発途上国の金採鉱から排出される水銀の除去に期待

Credit - Mark Evans/iStockphoto

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金価格が近年上昇していることから、開発途上国でASGM (Artificial Small-scale and Gold Mining)と呼ばれる小規模な金採掘が広まっています。しかしそういったASGMの現場では、金鉱石から金を取り出すための手軽な精製法に用いられる水銀が問題になっています。使い終わった水銀の多くはそのまま環境中に排出され、環境汚染につながるのに加えて、多くの子どもを含む採鉱従事者の間に健康被害を引き起こしています。そのような地域に向けて、低コストで水銀の除去を可能にするための方策の確立は急務となっています。

フリンダース大学(オーストラリア)のJustin Chalker講師らのグループは、使用済みの食用油(キャノーラ油)と硫黄を原料として簡単な方法で合成できる多孔性のポリマーが、金属水銀単体の液体・蒸気に加えて、無機水銀および特に毒性の高い有機水銀を効率的に吸着することを明らかにしました。使用済みの食用油は外食産業から、また硫黄は石油精製の副産物としてそれぞれ大量に発生するため、リサイクルによって水銀除去に活用できるなら、環境のために一石二鳥といえます。

この成果を報告する論文は、Chemistry – A European Journal誌に掲載されるとともに、同誌の注目論文 Hot Paper に選ばれました。

Chemistry - A European Journal

  •  論文  Worthington, M. J. H., Kucera, R. L., Albuquerque, I. S., Gibson, C. T., Sibley, A., Slattery, A. D., Campbell, J. A., Alboaiji, S. F. K., Muller, K. A., Young, J., Adamson, N., Gascooke, J. R., Jampaiah, D., Sabri, Y. M., Bhargava, S. K., Ippolito, S. J., Lewis, D. A., Quinton, J. S., Ellis, A. V., Johs, A., Bernardes, G. J. L. and Chalker, J. M. (2017), Laying Waste to Mercury: Inexpensive Sorbents Made from Sulfur and Recycled Cooking Oils. Chem. Eur. J.. doi:10.1002/chem.201702871 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
  •  フリンダース大学の発表資料  Cooking up new ways to clean up our planet (August 8,
    2017)
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