<論文紹介> 米国で市販の脂肪燃焼サプリ14製品からドーピング禁止物質オキシロフリンを検出 / 過去に有力陸上選手が違反で処分、別名の「メチルシネフリン」でラベル表示

ハーバード・メディカルスクールのPieter Cohen准教授らのグループは、米国で市販されている脂肪燃焼サプリメント(サプリ)製品の成分分析を行った結果、14製品からドーピング禁止物質に指定されている興奮剤オキシロフリン (oxilofrine) を検出しました。この報告は4月7日に Drug Testing and Analysis誌電子版に掲載され、公開直後から大きな反響を呼んでいます。

Drug Testing and Analysis

オキシロフリンは心拍数と血圧を上げる効果があり、一部の国では低血圧治療薬として認可されています。しかし、米国ではこれまで認可されたことがなく、サプリとしての使用も認められていません。このオキシロフリンは、世界アンチ・ドーピング機関WADAによってスポーツ選手の使用が禁止されている物質でもあります。2013年には、男子100m陸上の前世界記録保持者アサファ・パウエル選手ら有力選手が、相次いでオキシロフリン陽性による処分を受けました。その際パウエル選手は、サプリに含まれていたのを知らずに摂取したと弁明していました。

Credit - Radius Images/Alamy

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Cohen准教授らは、オキシロフリンの別名であるメチルシネフリン (methylsynephrine または methyl synephrine)を含むと謳っているサプリ製品27種を入手して分析したところ、そのうち14製品に一回の摂取量あたり0.0003mgから75mgのオキシロフリンが含まれていました。オキシロフリンが認可されている国では、一回あたりの標準的な処方量は32mgとされていますが、6製品がそれ以上の量を含んでいました。オキシロフリン摂取による健康リスクは明らかになっていませんが、Cohen准教授らによると、嘔吐や頻拍などの副作用の報告例があるとのことです。

今回のサプリ製品に記載のあったメチルシネフリンと似た名前の化合物に、シネフリン (synephrine) があります。シネフリンは柑橘類の果実に含まれるアルカロイドで、脂肪燃焼サプリの成分として使用が認可されています。消費者は、メチルシネフリン(オキシロフリン)をシネフリンと混同して、問題のない物質と思い込んで購入する可能性があります。このため米国の規制当局FDA(アメリカ食品医薬品局)は3月31日、メチルシネフリンを含むと称するサプリ製品の製造元7社に対して不正表示を警告する文書を送り、迅速な是正を求めました。

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