Wileyが査読に関するオンライン調査の結果を発表 / 査読者に対するインセンティブやトレーニングのあり方に重要な示唆

Credit - Brian A Jackson/Getty Images

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Wileyは、世界各国の論文著者を対象に、論文の査読(peer-review)に関する大規模なオンライン調査を2015年7~8月にかけて実施し、2,982人から回答を得ました。その結果がこのほどまとめられ、1月20日、報告書がLearned Publishing誌に掲載されるとともに、データがWileyの特設サイトで公開されました。

この調査の中で、Reward and Recognition(報酬と表彰)についてのセクションは、提供した労務に対して査読者がどのような形の見返りを求めているかを尋ねました。どのようなインセンティブがあれば査読を引き受けようと思うかという質問に対して、最も多くの回答者が選んだのは、自分の査読のクオリティに対する評価や、論文の最終的な採否判定といった、編集部・出版社からのフィードバックでした。それに次いで、誌上やウェブサイトに査読者の名前を載せたり、エディター個人から謝辞を送るといった形での表彰に人気がありました。一方で、謝礼金など金銭的な報酬は低い順位となりました。また、多くの査読者は、所属機関が査読を研究活動の一環として十分に認知していないと感じており、査読が測定可能な研究業績として評価されるべきだと考えていることも分かりました。

Credit - Catherine Yeulet/Getty Images

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査読者としてのトレーニングについての回答からも、重要な発見が得られました。査読者がこれまでに受けたことのあるトレーニングの形態としては、各ジャーナルが査読者向けに用意しているガイドラインや一般的な出版倫理ガイドラインを読むこと、また教員や同僚からインフォーマルな助言を得ることが上位を占めました。それに対して、セミナーの受講や動画・オンラインを通じてトレーニングを受けた回答者は少数に留まりました。

また、回答者全体の77%が、査読のためのトレーニングを今後さらに受けることを希望しました。トレーニングを希望する回答者の割合は、経験が浅い(5年以下)査読者で最も高く89%でしたが、6~10年の経験をもつ査読者でも75%に達するなど、既に実績のある査読者の間でもトレーニングへの需要があることが分かりました。トレーニングで特に学びたい項目としては、査読についての初心者向け概説のほか、査読レポートの書き方、著者への建設的で有益なフィードバックの与え方、plagiarism(捏造・剽窃)への対処法などが上位に挙がりました。

学術出版の質を維持する上で、査読が果たす役割はこれまでにも増して重要となっています。今回の調査結果は、査読の質を高めるためのインセンティブやサポートのあり方を改善する上で多くのことを示唆するものといえます。

Learned Publishing

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