<論文紹介> 化学兵器をMOFの触媒作用で無毒化する防毒フィルタ (ACIE VIP)

Credit - tandem/Shutterstock

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テロ組織などによる化学兵器(毒ガス)使用の危機が高まる中、化学兵器から人体を守るための防毒マスク(ガスマスク)の役割が重要となります。従来の防毒マスクの多くは、有毒物質を活性炭フィルタに吸着させて侵入を食い止めるもので、有毒物質それ自体を無毒化する機能は持っていません。そのため、フィルタが吸着可能な限界を超えると機能を果たさなくなり、漏出に細心の注意を払いながら廃棄するよりありませんでした。フィルタ自体に有毒物質を無毒化する機能をもたせることができれば大きな進歩となります。

スペイン・グラナダ大学のJorge A. R. Navarro教授らのグループは、この課題にチャレンジするために、近年注目を集める多孔質材料 MOF(Metal Organic Framework = 金属有機構造体)を採用しました。同グループは、ジルコニウム系のMOFであるUiO‐66に有機リチウムを導入することで、化学兵器として用いられる物質によく含まれるP-F, P-O, C-Clといった結合を切断する触媒活性が大幅に高まることを発見しました。さらに、このMOFとシルク繊維から合成した布地状の複合材料を用いた実験では、空気透過性が保たれるとともに、化学兵器の類似化合物を短時間で無毒化できることが確認されました。

今後の化学兵器対策への貢献が期待されるこの成果を報告した論文は、Angewandte Chemie International Edition (ACIE) に掲載されるとともに、同誌の注目論文VIPに選ばれました。

Angewandte Chemie International Edition

■ ACIEでは、二人の査読者が特に重要性を認めた論文をVIP (Very Important Paper)に選んでいます。
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