<記事紹介> サプリメントで人気の「オメガ3脂肪酸」が発がんリスクを高めると英国で報道 - 健康への功罪の正しい受け止め方は?

fish先週から、英国BBCなどの有力メディアで「オメガ3脂肪酸の摂取は高悪性度(進行性)の前立腺がんの発症リスクを71%高める」との報道がなされ、波紋を呼んでいます。青魚の油などに多く含まれるオメガ3脂肪酸は、心臓病や精神疾患の予防や症状改善、さらには「頭をよくする」「脱毛を防止する」など多岐にわたる効能が謳われて人気の高いサプリメントとなっているだけに、報道に大きなショックを受けた人が多いようです。今回の健康リスク報道をどのように受け止めるべきか、英国王立統計学会・米国統計学会とWileyによるウェブマガジンSignificance Magazineの最新記事が解説しています。

 ⇒ Omega-3 – wonder-supplement or cancer risk? (July 15, 2013, Significance Magazine)

この記事はまず、この種の健康リスクに関する報道で起こりがちな問題は、リスクが「x%高まる」という相対リスクだけを取り上げ、そのリスクが絶対値としてどのくらいなのかを無視してしまうことだと指摘します。実際、今回の報道でも、前立腺がんの発症率の絶対値は取り上げられておらず、著者が自分で調べたところ、英国男性での粗罹患率(1年間の新規発症率)は0.133%、すなわち750人に1人の割合と分かりました。これが71%増えても、発症率は0.228%、440人に1人で、依然として非常に低い率だと著者は言います。

著者によると、絶対値としては非常に低い健康リスクが問題になった同種の例としては、数年前に騒がれた「ベーコンサンドイッチ事件」(ベーコンなどの加工肉が腸がんの発症リスクを高めるとされた)があるそうです。

それでは逆に、オメガ3脂肪酸の健康上のメリットはどうかということになると、この主題に関する膨大な数の研究結果を信頼性の面から評価したLee Hooper博士のシステマティックレビュー(2006年)では、がん、子どもの学習・行動障害、精神疾患、アレルギー、腎臓病など多くの疾患に対してオメガ3脂肪酸の効果があるという客観的根拠は認められなかったとされています。Hooper博士は、オメガ3脂肪酸が子どもの学習能力を高めるという説も、きわめて質の低い根拠しかないと否定しています。

heartその一方で、オメガ3脂肪酸が関節炎など一部の疾患に対して効果があることは確かなようで、Hooper博士は、特に最近心臓発作を起こした人に対して、オメガ3脂肪酸の摂取を積極的に推奨しています。しかし、だからといって心臓発作を経験していない人がオメガ3脂肪酸を摂取しても、心臓病による死亡リスクや発症リスクを改善するという根拠はないとのことです。

今回の記事は、オメガ3脂肪酸には健康にいい面も悪い面も、またどちらともいえない面もそれぞれあるらしいが、良くも悪くも大騒ぎするほどのことはないと結んでいます。

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