名古屋大・渡辺芳人教授らの「シトクロムP450酵素へのデコイ分子添加による触媒活性制御」に関する論文をChemistry Viewsが紹介

酵素を「バイオ触媒」として有機合成に利用する研究が活発に行われていますが、酵素は一般に基質選択性が高く特定の基質以外には反応しないため、適用できる反応が狭く限定されてしまうことが弱点となってきました。

名古屋大学大学院理学研究科・渡辺 芳人教授ら名古屋大学と理化学研究所の研究者によるグループは、水酸化酵素シトクロムP450の中でも過酸化水素によって駆動するタイプのP450SPaに、カルボキシル基を含む擬似基質(デコイ分子)を添加することにより、この酵素では通常起こらないスチレンのエポキシ化反応が進行し、またデコイ分子のキラリティが生成物のキラリティに大きく影響することを明らかにしました。実験では、イブプロフェンのR体をデコイ分子に使った場合にはスチレンオキシドのS体が生成し、S体を用いた場合はその逆と明確に分かれました。この研究成果を報告する論文は、Chemistry – An Asian Journalに掲載されました。

今後は、デコイ分子として用いる化合物とP450の種類のさまざまな組み合わせを試すことで、より高い触媒活性と不斉選択性の実現につながることが期待されます。

化学ニュースサイトChemistry Viewsは、この論文についての解説記事を掲載して内容を紹介しています。
 ⇒ Chemistry Views – Ibuprofen Decoy

元の論文はこちらです。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
 ⇒ Fujishiro, T., Shoji, O., Kawakami, N., Watanabe, T., Sugimoto, H., Shiro, Y. and Watanabe, Y. (2012), Chiral-Substrate-Assisted Stereoselective Epoxidation Catalyzed by H2O2-Dependent Cytochrome P450SPα. Chem. Asian J.. doi: 10.1002/asia.201200250

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