<レポート> 英文誌出版関係者のためのWiley Executive Seminarが開催される / オープンサイエンス・出版倫理などをテーマに活発な討議

wec2015_12sWileyは8月2日(日)、編集委員などの立場で英文誌出版に関わる方々に向けてのWiley Executive Seminarを東京国際フォーラムで開催しました。(プログラム (PDF)

毎年恒例となっている当セミナーですが、今回は 1. オープンサイエンス / オープンアクセス 2. 出版倫理 3. インパクトファクター 4. ピアレビュー をセッションの論題に選び、各界を代表する専門家にご講演をいただきました。各セッションの要旨を簡単にご紹介するとともに、各講演の配布資料を公開します。(一部の講演を除く)

Session 1: Open Science/ Open Access

Mark Robertson (Wiley)

Mark Robertson (Wiley)

オープンアクセス・オープンサイエンスを取り扱うこのセッションでは、まず内閣府の真子博氏がオープンサイエンスのコンセプトと国内外の動向、また先に内閣府が開催したオープンサイエンスに関する検討会での議論や今後の取り組みについて解説しました。次に水野充氏が、研究助成機関の立場からJSTのオープンアクセスに対する方針とその実効性について講演を行いました。Wiley日本支社長のマーク・ロバートソンは出版社の立場からオープンアクセスと出版モデルを、また同社の荒生由香里はオープンアクセス出版におけるライセンスの種類とその内容をそれぞれ解説しました。科学技術・学術政策研究所の林和弘氏による講演は、オープンサイエンスをめぐる環境についての個人的な見解を表明するもので、オープンサイエンスの定義がまだ確実ではないことや、医学以外の分野どのように対応していくのかといった問題を提起しました。

配布資料(講師の敬称略 – 以下同じ)

Session 2: Publication Ethics

Chris Graf (COPE / Wiley)

Chris Graf (COPE / Wiley)

本セッションでは、出版倫理の問題が取り上げられました。各講師からは、問題論文の例やそれを見抜くための取組み、倫理上の不正が発覚した場合のretraction(論文撤回)の手続きや著者に対する対応といった具体例が示されました。Conflict of Interests(利益相反)については、開示の必要性や、ガイドライン作成の際にはCOIに注意を要することが指摘されました。また、データ不正を防ぐための教育としてケーススタディの重要性が説かれるなど、意義のある発表や活発な質疑が行われました。

Session 3: Impact Factor

Impact Factor に関するこのセッションでは、まずWileyの出版担当者・八幡智雄が「Impact Factor:基本と応用」として、Impact FactorのMetricsとしての基本的特徴、分野による引用の仕方の違い、オンライン早期出版サービスがImpact Factorに与える影響などを論じました。次いでDevelopment, Growth & Differentiation誌の編集幹事である仲村春和先生からは、発生生物学において論文投稿が減る中、いかに招待総説や特集の掲載によってImpact Factorの数値を伸ばしたのかといった点について、査読での工夫を交えて具体的に紹介がありました。その後の質疑では、Impact Factorを人事の考課において重視することの是非やImpact Factorに代わるMetricsの可能性、Impact Factorのみに振り回されることにより誌面が偏る等の論点が取り上げられました。

Session 4: Challenges of Peer Review

このセッションは、間野博行先生と大家基嗣先生の基調講演の後、グループ討議の形で行われました。参加者は複数のグループに分かれて、4つのトピックについて意見交換を行った後、最後に各グループで話し合った内容を発表しました。課題となったトピックは 1. 査読者を獲得するためにしていること 2. 査読のスピードアップについて 3. 若手査読者の獲得とトレーニング 4. 国内外著者の論文掲載と引用のバランスについてでした。参加者の分野や立場は多様だったにも関わらず、ジャーナルの規模、学会の規模や組織によっても活動に制限があることや、他誌での活動を今後取り入れていきたいなど、各グループで活発に意見が交わされました。

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