アメリカの肺がん死亡者を毎年12,000人減らすことが可能?低線量CT検診(LDCT)の有効性が示唆される

Cancerアメリカの現喫煙者及び過去の喫煙者が低線量CT検診(LDCT)を受けることで、毎年12,000人もの肺がん死亡者を減らすことができる可能性を見出した分析結果が、アメリカがん協会(the American Cancer Society)の公式誌Cancerで発表されました。

Annual number of lung cancer deaths potentially avertable by screening in the United States
Jiemin Ma, Elizabeth M. Ward, Robert Smith and Ahmedin Jemal
全文に無料でアクセス頂けます

⇒プレスリリース Screening Could Avert 12,000 Lung Cancer Deaths Each Year in the United States

喫煙する人は大幅に減ってはいるものの、アメリカでは未だ4,300万人の喫煙者が存在し、このまま喫煙を続けると半数以上が肺がんなど喫煙を原因とする疾患で死亡することが予想されますが、早期発見により死亡リスクは低減できます。

2002-2009年にアメリカで行われた大規模な肺がん検診の臨床試験(NLST)の結果、胸部X線に比べ、LDCT検診を行うことで肺がん死亡者を20%減らせることが2010年に報告されています。当試験は55-74歳の年齢幅で、30 pack-years (箱・年)以上の喫煙者と過去15年以内に禁煙した人を対象としています。(30 pack-yearsは30年間毎日1箱もしくは、15年間毎日2箱の喫煙に該当します)
今回分析結果を発表したアメリカがん協会の研究グループは、この臨床試験の結果とアメリカの人口統計などのデータを合わせて分析したところ、先の臨床試験で用いられた基準に当てはめると、2010年の時点で860万人のアメリカ人がLDCT検診の対象者であることを特定しました。この数値を死亡率とかけ合わせることで、対象の全860万人がLDCT検診を受けた場合、毎年約12,000人の肺がんによる死亡を免れるか、もしくは生存年を引き延ばすことができる可能性が見出されました。

共著者のDr. Ahmedin Jemalは、今回の分析結果によって、LDCT健診の実施が国レベルで与える影響がより良く理解できるようになったと語っています。また同氏によると、米国肺学会などの団体はLDCT検診を推奨していますが、他の保健機関はさらに新しいデータが提供されるまで推奨を保留している状態だとしています。

また共に出版された論説の著者であるLarry Kessler氏は「LDCT健診の実施をわが国の新しい政策として採用する必要があるかどうかは明らかではない。LDCT検診で偽陽性の結果が出やすいことや、関連の精密検査のコスト、また患者の利益にならない検査結果を取り扱うコストを考えると躊躇せざるを得ないので、その方向に向けて意思決定がなされていないことは確実だ」と語っています。

⇒関連論説 Is 20% of a loaf enough?
*Abstract(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です

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