Wiley Publishing Japan(ワイリー・パブリッシング・ジャパン)

伝統的な光学顕微鏡では捉えられないほど小さいが、同時に単一の原子や小分子よりもはるかに大きいナノスケールの過程の観察には、常に困難が付きまとうが、動きが速い分子ダイナミクスの場合はなおさらである。しかしながら、そのような過程を観察することは、特定の挙動を示す分子や物質を作り出す上で重要な意義がある。
2巻からなる本書は、この分野で世界をリードする日本人研究者グループによる編集されたものである。ナノスケールの分光法を詳細に論じることから始まり、構造のキャラクタリゼーションや動的挙動の感知といった主題へと続く。また、生物学研究に有用な生細胞の研究も詳しく取り上げられる。活性表面や単一結晶とそれらのキャラクタリゼーションについての章が本書を締めくくる。
ナノスケールの分子ダイナミクスに関する必備の参考書として今後長年にわたって評価を保つと期待される本書は、広範な科学の各分野の研究者とナノマテリアルの技術者の両方に資するものとなろう。