近年、金属化合物のナノ結晶(metal compound nanocrystals = MCNC)とグラフェンを組み合わせて複合材料を開発する試みが活発に行われるようになっています。そういった新しい複合材料は、半導体・センサー・二次電池材料・触媒など多様な用途への応用が期待されています。
MCNCとグラフェンの複合材料の合成法はこれまでにもいくつか報告されていますが、中国科学技術大学の研究グループは、2種類の材料を静電気によって凝集させるコロイド凝集効果(colloidal coagulation effect = CCE)を用いた新しい合成法を考案し、このほどParticle誌で発表しました。
 ⇒ Wei, D., Liang, J., Zhu, Y., Yuan, Z., Li, N. and Qian, Y. (2013), Formation of Graphene-Wrapped Nanocrystals at Room Temperature through the Colloidal Coagulation Effect. Part. Part. Syst. Charact., 30: 143–147. doi: 10.1002/ppsc.201200120
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同グループは、それぞれ正負の電荷を持たせた酸化鉄(III) (Fe2O3)のナノ結晶と酸化グラフェン(GO)とを溶液中で静電気によって凝集させて、Fe2O3を酸化グラフェンで被覆することに成功しました。その後ヒドラジンでGOを還元することにより、還元酸化グラフェン(RGO)で被覆したFe2O3ナノ結晶が得られました。この複合材料をリチウムイオン電池のアノード電極としてテストしたところ、非常に優れた性能を示すことが確かめられました。
このCCEによる合成法は、室温で実行することができ、またナノ粒子の大きさや構造を元の状態のまま維持できるという利点があります。今後、さまざまな種類のMCNCを基にした新しい機能を持つ複合材料の開発につながることが期待されます。
■ この成果は、材料科学のニュースサイトMaterials Viewsで紹介されました。
 ⇒ Graphene gives metal nanocrystals the wrap (Materials Views)
								




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