 夏の暑い日の「打ち水」は、伝統的な省エネ冷房法としておなじみですが、同じ原理で、気温が上がると建築材料があたかも汗をかくように自ら水分を放出し、気化熱で温度を下げるというユニークな研究が、Advanced Materials誌に報告されました(右の画像は掲載号の表紙。ビルが汗をかいています)。材料科学のニュースサイトMaterials Viewsが伝えています。
夏の暑い日の「打ち水」は、伝統的な省エネ冷房法としておなじみですが、同じ原理で、気温が上がると建築材料があたかも汗をかくように自ら水分を放出し、気化熱で温度を下げるというユニークな研究が、Advanced Materials誌に報告されました(右の画像は掲載号の表紙。ビルが汗をかいています)。材料科学のニュースサイトMaterials Viewsが伝えています。
 ⇒ Materials Views - Skyscrapers Sweat it Out: Sweating Surfaces for Building Materials
チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)の研究グループが用いたのは、温度応答性ポリマーであるポリイソプロピルアクリルアミド(poly-N-isopropylacrylamide = PNIPAM)です。このポリマーは、32℃以下では親水性を示し、内部に水分を蓄える一方、32℃以上では撥水性に転じ、蓄えた水分を放出する性質を持っています。実験では、家の模型の屋根に水分を含んだ厚さ3mmのPNIPAMを貼り付けて、真昼の日照に相当する条件下で温度上昇を観察しました。比較対象としては、温度応答性を持たない親水性ポリマーのポリハイドロキシエチルメタクリレート(poly-hydroxyethylmethacrylate = pHEMA)に同量の水分を含ませて作った屋根を用いました。実験の結果、PNIPAMの屋根の方が気化熱の効果で温度上昇が緩やかになることが確認されました。
しかし、時間が経過して内部の水分がすべて蒸発してしまうと効果が失われ、PNIPAMの屋根の温度は急上昇しました。熱帯地域のように日中に頻繁に雨が降るところでは自然に水分が補充されますが、それ以外の地域では、蒸発した水分をどうやって補充するかが課題になります。同研究グループは、夜間に空気中の水分を吸収して蓄えることのできる高分子材料との併用を提案しています。
■ Advanced Materials誌に掲載された元の論文はこちらです。
 ⇒ Rotzetter, A. C. C., Schumacher, C. M., Bubenhofer, S. B., Grass, R. N., Gerber, L. C., Zeltner, M. and Stark, W. J. (2012), Thermoresponsive Polymer Induced Sweating Surfaces as an Efficient Way to Passively Cool Buildings. Adv. Mater., 24: 5352–5356. doi: 10.1002/adma.201202574
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