多数のボランティアがコンピュータの余剰能力を提供して協力、300万個の低分子化合物のスクリーニングで小児がん治療の新薬候補を発見

Cancer Medicine Open Access千葉県がんセンターと千葉大学が、もっとも多い小児がんの一つである難治性の神経芽腫の治療に使用される可能性のある、7つの新薬候補の発見をオープンアクセス誌、Cancer Medicineで発表しました。これらの新薬候補は低濃度での投与で、明らかな副作用もなく、がん細胞を効果的に抑制することがマウスを用いての研究で判明しました。

神経芽腫は末梢神経組織に発症する腫瘍で、1歳以上の子供が患うと治癒率が低く、予後がよくないため、早期の治療薬の開発が求められていました。神経芽腫細胞を抑制する分子を突き止めるためには膨大な数の分子をテストする必要がありましたが、IBM及びWorld Community Gridに所属する一般ボランティアがコンピュータ処理能力を集結したおかげで、わずか二年で300万個の分子のスクリーニングを成し遂げ、7つの新薬候補を特定することができました。World Community Gridとは200,000人以上の参加ボランティアがコンピュータの余剰能力を提供し、使用していないコンピュータ時間を科学研究に寄付できる仕組みです。これを単独のコンピューターで行った場合、処理に55,000年以上かかる計算になるとのことです。

研究者らはさらなる研究開発と治験を行ってくれる提携製薬会社を探しているとのことです。

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Identification of novel candidate compounds targeting TrkB to induce apoptosis in neuroblastoma Open access
Yohko Nakamura, Akiko Suganami, Mayu Fukuda, Md. Kamrul Hasan, Tomoki Yokochi, Atsushi Takatori, Shunpei Satoh, Tyuji Hoshino, Yutaka Tamura and Akira Nakagawara

プレスリリース⇒IBM Supercomputer Screens 3 Million Molecules in Hunt for Cancer Medicines

World Community Gridのニュースサイト⇒著者の一人である千葉県がんセンター病院長中川原章先生によるブログ投稿

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